格付け・ランキング・データベース ESG評価の活かし方
企業のESG・サステナビリティ課題への取り組みを評価する格付け・ランキングには様々なものがあります。ESG評価機関やNGOに機関投資家なども加わって、協働で評価を行う事例も増えてきました。
企業側としても、こうした外部評価を高めようと積極的に対応する例が見られる反面、膨大な質問項目に回答するには多大な労力を要することも事実です。そのため開示済の情報を元にこうした評価が行われることは、企業にとっても負担が少なく、ソースとなる情報にも透明性があり、評価結果の信頼性も高まります。
開示情報を集約して検索しやすいようまとめたデータベースもつくられています。私が注目しているものの1つが、製薬会社が医師に支払った謝礼額をまとめたマネーデータベース『製薬会社と医師』です。探査報道メディア・Tansaと特定非営利活動法人の医療ガバナンス研究所が制作し、現在2016年版と2017年版が公開されています。
患者に薬を処方する医師に、製薬会社は「講師謝金」「執筆料」「コンサルタント料」といった名目で報酬を支払っています。薬の研究開発や安全な処方を進める上で、製薬会社と医療機関・医師が連携していくことは質の高い医療を提供する上で不可欠なものですが、一方で、多額の金銭の授受が薬の処方に影響を与えることがないかが懸念されます。
製薬会社は業界ガイドラインに則り、自社サイトで医師への支払い情報を公開しています。すべての製薬会社の情報を統合し、医師個人名で情報を検索できるようにしたのがこのデータベースです。
社会の健全な発展のためには、情報の透明性を高め、チェック機能が働く仕組みをつくることが欠かせません。患者側の視点に立ち、膨大な時間をかけて作成されたこのデータベースは、非常に意義のあるものです。企業側も、患者が安心して薬を利用できるよう、こうした動きと一緒になって透明性を高めていくことが期待されます。例えば、
- 各社が開示している医師への支払い情報は、私も探してみましたが深く見つけにくいところにあり、PDF化できなかったり1件ずつデータの申請が必要だったりするそうです。企業は情報へのアクセスのしやすさを向上することが期待されます。
- データベースでは製薬会社別の医師への支払い総額も見られるようになっています。一例として、2016・17年とも、1位の第一三共は2位と2倍以上の金額となっており、こうした影響の大きさも踏まえて開示のあり方を見直していくことが信頼性を高める上でも大切です。
外部からの評価や指摘によって、企業は自社に不足する点を認識することができます。実際にサステナビリティの先進企業は、評価やランキングが公表されたら、すぐに不十分な点の改善に取り組むと言います。企業は評価結果に一喜一憂するだけでなく、格付けやランキング、そしてこうしたデータベースを、投資家目線にだけ偏らず広くステークホルダーが求める情報が何かを理解し、信頼性を高める機会と認識して、自社の取り組みと情報開示姿勢に反映していくことが期待されます。
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Sustainability Frontline [原文はこちら]
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