フードマイルほぼゼロ。スーパーの駐車場で有機野菜を育てる「Garden Box」
メキシコ産アボカドや、ブラジル産鶏肉、ノルウェー産サーモン。私たちが普段、何気なく食べているものの中には、地球の裏側から届いたものも多くある。このように遠くから運ばれてくる食品を毎日の買い物で選ぶことが、実は環境負荷につながっていることはご存じだろうか。
フードマイレージ(食の輸送にかかる距離)が高いほど、多くの燃料が消費され、多くのCO2が排出される。そのため、地域で作った食材を地域内で消費する「地産地消」が大切だと言われている。
この究極の地産地消をスーパーで行うのが、アメリカのオーガニック食品チェーンNatural Grocersだ。同社は、コロラド州レイクウッドの店舗の駐車場で、野菜の栽培を始めた。スーパーを訪れた買い物客との距離は、わずか82歩。一見輸送用のコンテナのように見える「Garden Box」の中で有機野菜を育てることで、フードマイレージのほとんどない買い物の選択肢を与えているのだ。
このGarden Boxは、コンテナの壁をつかった垂直農業ができる。垂直農業とは、平たい畑や温室などで野菜を栽培する代わりに、都会の超高層ビルや、輸送用コンテナ、使われなくなった倉庫などで、高さを利用して垂直的に農作物を生産することだ。従来の農業のように広い土地がいらず、スペースの限られた都市でも野菜を生産できることが特徴だ。
Garden Boxでの栽培に必要なのは、水と有機肥料のみ。必要な光の量はボックスの中で自動的に調整され、天候も関係ない。撒かれる種も、日本の農林水産省にあたるUSDA(米農務省)のオーガニック認証のものだけだ。
日本に目を向けてみると、2019年度の食料自給率はカロリーベースで38%(※1)。多くの食べ物を輸入して、私たちの食生活は、とても多様になっている。しかし、航空券のマイレージと違い、フードマイレージが多いのは、あまり喜んではいられない。
なるべく自分の住む地域に近いところで生産された野菜や果物などを買えば、おのずと輸送距離が縮まり、環境負荷も減る。オーガニックで、新鮮で、顔が見える野菜の選択肢を消費者に届ける「地産地消」は次なる豊かさではないだろうか。
この製品自体を買わなくても、お店の駐車場で野菜を育てるというのは、日本でも真似できそうな発想だ。
2021/8/5
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[原文はこちら]
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