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100万台の車相当のエネルギーを節約する、新たな冷凍技術

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冷凍技術はめざましい進化を遂げている。近年では冷凍食品でもフレッシュな味や、高級店に引けを取らない味を楽しめるようになり、一昔前の「冷凍食品=おいしくない」というイメージは大きく覆されるようになった。2027年までに世界の冷凍食品市場の規模は4,048億ドルに達すると予想される。このようにますます盛り上がりを見せる冷凍食品市場だが、実は、冷凍技術と地球温暖化には深いつながりがあることをご存じだろうか。

食品を凍らせるための冷凍庫は、一般的に液体状の冷媒の状態変化を利用している。冷凍庫の冷却装置内で、気体化と液体化を交互に繰り返すことで、冷凍庫内の熱を放出したり吸収したりして、食品を凍結するのだ。ここで問題となるのが、冷媒として使われている代替フロン(HFC)である。

オゾン層を破壊するフロン(HCFC)に代わって生み出されたHFCだが、オゾン層自体への影響はごくわずかでも、温室効果は大きいままである(※1)。近年では各国でHFCの規制が行われ、「脱フロン」及び「脱代替フロン」が進められてはいるものの、ゼロになるまでにはまだ時間がかかりそうだ。

環境負荷の小さい、グリーンな冷凍技術の開発が模索されているなか、米国カリフォルニア大学などの研究者らが、食品の画期的な冷凍の手法「等積・定積冷凍(isochoric freezing)」を発表した。特殊な液体が入った密閉容器に食品を入れ、冷凍庫で冷やす方法をとるものだ。移植用の臓器を安全に輸送する手法から、ヒントを得ているという。

研究者らは、冷凍の方法を変えるだけで、世界でのエネルギー消費量を年間最大64億9,000万キロワット、CO2排出量を年間45億9,000万kg削減できると見込んでいる。これは、100万台以上の車が利用されなくなるのと同等の効果をもたらす数値だ。

昨今の冷凍方法の主流である「等圧・定圧冷凍(conventional isobaric freezing)」は、エネルギーコストがかかる上に、食品の味も落ちてしまっていた。しかし新しい手法では、環境にやさしいうえ、食品の品質を大幅に改善し、より長く保存することも可能になると研究レポートでは発表されている。さらに食品だけでなく、医学や生物学、医薬品などの分野での応用も期待されている。

これまで環境負荷が大きいとされていた冷凍技術は、各国や企業の努力のかいあって、サステナブル化が急速に進んでいる。人口増加による食料危機やフードロスの解決方法としても、さらに存在感を増していくだろう。

「いかに地球に負荷を掛けないか」という視点を持ちながらも、暮らしをより豊かにしてくれる冷凍技術のより一層の発展に期待したい。

※1 代替フロンに関する状況と現行の取組について – 経済産業省

【参照サイト】

2021/11/2
IDEAS FOR GOOD
[原文はこちら]

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