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オランダの空港が豚を雇用。バードストライク防止に

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「バードストライク」をご存じだろうか。飛行機のエンジンに鳥が吸い込まれ、エンジンの損傷を引き起こしてしまう事故だ。航空機損傷による墜落事故の危険性や、動物愛護の観点からも、各国の空港が対応に悩まされている。日本でも、2019年には1,577件のバードストライクが報告されている。

こうした人と鳥との戦いにユニークな発想で立ち向かったのが、ヨーロッパ最大の輸送拠点のひとつ、オランダのスキポール空港だ。彼らが鳥を追い払うために取った方法は、なんと「豚を雇用すること」だった。

実はスキポール空港周辺には、小麦や大麦などの農地が多く、穀類の収穫時の取りこぼしが鳥を引き寄せてしまうとして、長らく空港関係者の頭を悩ませていた。その前に、こうした残留物を豚の餌として処理してしまおうというアイデアが、このプロジェクトの発端だ。実験では豚約20頭を「雇用」した。豚たちは滑走路の間の、鳥たちが普段集まっている2ヘクタールほどの畑に放たれた。

実験自体は11月第1週に終了し、今後数週間で、豚を飼っている土地の鳥の活動データと飼っていない土地のデータが比較される予定だ。スキポール空港の代表であるコースター氏は、「この実験が有益なものだった」と発表している。

この実験のデータは、スキポール空港及び周辺地域で鳥が多く飛来する場所をマッピングしている特殊なバードレーダーと、目視による観察によって取得されている。収集したデータを今後数カ月間でさらに検証し、豚を長期的に使うかどうかは、来年初頭に決定するとのことだ。

スキポール空港はこれまでにも豚以外に様々な鳥対策を講じている。例えば、空港内での鳥の行動を把握するために、20台のバードコントローラー(鳥が嫌う特殊な音やレーザー光線を発する道具)を空港全体に設置する、昼夜を問わず鳥を遠ざけ、さらに鳥が嫌がるような特殊な芝生を植えるなどの施策だ。しかし、これらの対策も続けていると鳥が刺激に慣れてしまう。こうした堂々巡りの現状は、世界中の空港を悩ませる問題なのだ。

今回の「豚の雇用」は、鳥がやってくる原因そのものを断つという、今までの応急処置的な対策とは違った角度からのアプローチだ。スキポール空港はこの実験以前から地域の農家との協力体制があり、問題の重要性を地元農家へ理解してもらっていた。それゆえにこうしたユニークな対策を取ることができている。

スキポール空港以外にも、例えば南アフリカのタンボ国際空港では犬を使用した鳥対策を講じている。ひょっとすると、日本でもそのうち動物がバードストライク問題の解決にその力を発揮する未来があるかもしれない。

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