浄水するなら食品ロスで。土に還るオブジェ「Strøm」
食品廃棄物と地球温暖化の関係について、考えたことはあるだろうか。
世界では毎年、食料生産量の3分の1に当たる、約13億トンの食料が廃棄されている(※1)。捨てられる食料を生産するために発生した温室効果ガスは、無駄に排出されていることになる。
また、埋め立てられた食品廃棄物が腐敗すると、CO2の25倍の温室効果があるメタンが発生(※2)し、焼却してもCO2が発生する。世界自然保護基金(WWF)によると、私たちが食品を無駄にしなければ、温室効果ガス排出量を約6~8%削減できるという。
ニューヨークのプラット・インスティテュート大学院の学生である、シャーロット・ボーニング氏とメリー・レンプレス氏は、食品廃棄物を減らすため、バナナの皮や羊の骨などを加熱してできたバイオ炭を使い、浄水用のオブジェ「Strøm」を作った。バイオ炭は、燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下で作られるため、大気中へのCO2放出を減らせるのが特徴だ。
ボーニング氏らは、バイオ炭と天然樹脂を混ぜて、曲がりくねった形のオブジェを製作した。このような形にしたのは、表面積を最大化し、多くの不純物を除去するためだ。オブジェを瓶などに入れて、振って使うという。
Strømはコンポストすることができ、約1か月あれば土壌中で分解されるそうだ。また、バイオ炭を土壌に投入すると、炭素を土壌に閉じ込めることができるというメリットもある。同時に、両氏はStrømに付着した不純物が土壌に悪影響を与えないかどうか、調べているという。
ボーニング氏らは同じ素材を使い、ペレット状、カートリッジ状、容器状の浄水器も製作している。カートリッジ状のStrømは、水を入れたポットに差し込んで使う。これは、プラスチック製のカートリッジの代わりになるそうだ。
容器状のものには、ペレットを入れて水を濾す。ペレットを適宜交換することで、浄水能力を低下させずに、容器の製品寿命を延ばすというアイデアだ。
Strømは、2021年にプラット・インスティテュート大学が開催したマテリアルラボ賞で、大賞を受賞した。発掘された土器のような趣がある容器やカートリッジから、持ち運びに便利そうなオブジェまで、あなたならどの浄水器を使いたいだろうか。
※1 Fight climate change by preventing food waste | Stories | WWF
※2 環境省_温室効果ガスインベントリの概要
【参照サイト】 Strøm — Charlotte Böhning
2022/5/17
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[原文はこちら]
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