Global CSR Topics

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地方の中小企業のSDGs 成功のカギは?

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今、日本の中小企業でもSDGsへの関心が高まっており、取り組みが拡大しています。2021年10月に発表された、日本国内の5000社を対象とした『日本企業の経営課題2021』の調査結果 では、中小企業の86.8%(昨年比10ポイント以上増)の経営者がSDGsを「知っている」と答えています。また、SDGs関連の取り組みをしている中小企業も5割を超えました。

日本の全企業の99.7%を占めるのは中小企業です。中小企業の取り組みが増えれば、社会に大きなインパクトを与えられますし、企業が新たな価値を創り出すきっかけにもなります。そこで今回は地方の中小企業の事例と、成功のカギをお伝えします。

「施策の棚卸し×SDGs」が、職員の自発的な行動のカギに

「ささづ苑」は、社会福祉施設として日本初の高効率なシステムを導入し、大幅な省エネルギー化を実現。太陽光発電などの再生エネルギーを導入しエネルギー自立度を高めるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)設備となっている。

富山県にある老人ホーム「ささづ苑」は、これまでも建物の再エネ化、ITを活用した見守り支援や、家庭の事情で働きたくても働けない人に柔軟に働いてもらう「ユニバーサル雇用」を実施。ただ、それらはSDGsが提唱される前から、施設の理念に基づき別々におこなってきたものでした。

そこで同施設の担当者はまず、既存の取り組みを棚卸しし、SDGs目標との関連性を整理しました。それを見た他の職員は、自分たちの日々の仕事が社会・環境問題の解決になることを改めて実感。さらにできることを考え、高齢者向けの交通安全教室&スマホ教室、子ども・子育て応援マルシェや、小学校での福祉・地域教育を自発的に立ち上げ、継続しています。

「製品×SDGs」がビジネスチャンスに

テンセンス株式会社のプレスリリースより

テンセンス株式会社(大阪府)は、クッキーでできた食べられるカップ「エコプレッソ」を生産・販売しています。事業化のきっかけは、代表の林 真智子さんが「自分のカフェのエスプレッソをもっと広めたい。使い捨てカップも減らしたい」という思いで「エコプレッソ」を手作りし、カップ代わりに使い始めたことです。SNSで人気に火がつき「SDGs目標の解決につながるので使いたい」という依頼が、国内外の飲食店から殺到。専用の機械を開発し、量産する体制を整えました。本業の問題解決のために作った製品が、世の中のSDGsへの意識の高まりに伴ってヒットし、企業の成長を後押しした好例です。

「自社のコア事業×SDGs」でブランド力を上げる

山翠舎の倉庫にある古木プレスリリースより

1930年から建具制作や建築業を営む株式会社山翠舎 (さんすいしゃ)(長野県)は、古民家から得られる上質で入手ルーツが明確な古い木材を「古木」と名付け、買い取り、販売する事業を2006年にスタート。古木の認知度を少しずつ上げ、中核となる事業に成長させてきました。

同社は2019年からSDGsの観点から古木の事業を捉えなおし、古民家の解体から古木にまつわる一連のシステムを体系化して「古民家・古木サーキュラーエコノミー 」というコンセプトにまとめ、発信しています。この考え方に基づき、古民家や古木のデータベース化、古木としては世界初の「FSC認証」の取得などの施策を次々と実行に移しながら、ブランド力を高めています。

SDGsは、企業価値を上げる推進力になる

中小企業は、大企業に比べると予算やマンパワーが限られています。そのため「SDGsに取り組む」と言っても、一部の社員が概要を学び、自社の事業に近い目標を選んで発表するだけに留まるケースもあります。

しかし、大切なのはそこから先に歩みを進めることです。既存の施策や自社製品、コア事業とSDGsをかけ合わせて考え、アイデアを出し、実践し続ける。それが企業価値の向上と、未来の地球・社会への貢献につながります。SDGsは、中小企業の成長を支える心強い伴走者にもなり得るのです。

(曽我 美穂/ライター)

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Sustainability Frontline [原文はこちら]


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