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ニュージーランド、牛の「げっぷ税」を導入へ

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気候変動の原因といわれる温室効果ガス。二酸化炭素に次いで2番目に排出量が多い温室効果ガスはメタンガスだ。排出量全体の15%を占めるメタンガスは、二酸化炭素の28倍の温室効果を持つ(※1)。そのため、メタンガス排出量の削減は、気候変動の抑止に好影響を及ぼすとされる。

メタンガスの排出源は、主に3つある。植物が分解される際や天然ガス採掘時、そして牛や羊など反すう動物のげっぷやおならなどだ。特に牛は、世界の家畜から排出されるメタンの65%を占めている(※2)。

牛を食べることをやめれば手っ取り早くメタンを減らせるかもしれないが、世界で年間7,200万トン(※3)の牛肉を消費する私たちの暮らしを変えるのは簡単ではない。世界中で牛肉の消費の在り方ついて議論が続く中、ニュージーランドは牛と羊の「げっぷ税」の導入を検討していると発表した。BBCの報道によると(※4)、実現すれば動物のげっぷが課税されるのは世界初となる。

計画は2025年から、牛や羊を飼う農家がげっぷの排出量に対して税を支払うというもの。現在は計画案の段階で、税を算出するために単一の計算式が使用される予定だ。集められた税金は、今後の研究費などに充てられる。

世界でも有数の畜産大国であるニュージーランドは、「人より羊の数の方が多い」と言われるほど羊や牛を多数有する。人口約500万人に対して、約2,600万頭の羊と約1,000万頭の牛が飼育されており、合計すると人間の7倍近い羊と牛が暮らしている。

2009年には、ニュージーランド農業温室効果ガス研究センター(The Global Research Alliance on Agricultural Greenhouse Gases)を設置し、いち早くメタン削減に向けた取り組みを進めてきたニュージーランド政府。今回のげっぷ税を決意した背景には、2021年にイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26の合意がある。酪農や畜産が主要な産業であるからこそ、2030年までに温室効果ガスの排出量を30%削減するという目標達成に向けて、さらにギアを上げる。

ニュージーランドのジェームズ・ショー気象変動相はBBCの取材に、「メタン削減の必要があることは間違いなく、効果的な排出権取引制度は、削減を達成する上で重要な役割を果たすはずだ」と語っている。

げっぷ税が導入されると、肉の値段にも影響が及ぶ可能性が高い。いきなり食べるのをやめるのはハードルが高いかもしれないが、気候変動に配慮した食生活をするクライマタリアンのように、週3回の牛肉を週1回に減らすだけでも環境負荷は減らせる。げっぷ税のニュースが、一人でも多くの人に「自分にできることは何か」を考えてもらうきっかけになってほしい。

※1 Methane emissions
※2 Rethinking methane from animal agriculture
※3 FAO Food Outlook 2021- what does it say about meat?
※4 Climate change: New Zealand’s plan to tax cow and sheep burps


【参照サイト】

2022/7/14
IDEAS FOR GOOD
[原文はこちら]

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