Global CSR Topics

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「病気になっても仕事を続けたい」 治療と仕事の両立をサポートする取り組みとは?

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病気になったら仕事はやめなければならないのでしょうか? 答えはノーです。厚生労働省の調査によると、病気を抱える労働者の92.5%が就労継続を希望 。厚労省は、治療と仕事の両立をレポートする「両立支援」の強化を企業に呼びかけ、ガイドラインや助成金の提供をおこない、ポータルサイトを運営しています。

しかし、実行している企業はまだ少数派です。東京都の調査※では、調査対象844社のうち、両立支援に取り組んでいる企業は半数にとどまっています。理由は「従業員から明確な要望がない」(45.8%)や「何に取り組んでいいのかわからない」(36.8%)です。とはいえ、D&I、企業の人材確保、「誰もが働きやすい職場づくり」の観点から考えると、両立支援はすぐにでも行うべき取り組みです。

では、どんな形の両立支援が理想的なのでしょうか? 今回はその答えのヒントとして、日本に33万人以上いる 腎臓病の透析患者さんの「働きたい」という気持ちに応える取り組みを3つ、お伝えします。

※東京都福祉保健局「東京都がん医療等に係る実態調査(がん患者の就労等に関する実態調査結果(がん患者の就労等に関する実態調査)-「第2章 調査結果 5.企業調査」)P100(2019年)

「仲間と一緒に仕事をしたい」に応える、在宅ワーク支援事業

在宅で治療を受けながら働くのは、安心・安全な自宅で自分のペースで仕事を進められるというメリットがある一方、まわりに気軽に相談できない孤独感があります。それを払拭し、難病や障がいがあり通勤が困難な方が、仲間意識を育みながら自宅で働くことを可能にしているのが、人材総合サービス事業を営むスタッフサービス・クラウドワークです。

同社では、研修時から仲間づくりを推進。プロジェクトごとに仲間とオンライン上でつながって充実感を持って働けるように、1日に3回は定期ミーティングをおこない、それぞれの体調に応じてチームで助け合いながら仕事を進めています。在宅で治療と仕事を続ける従業員がいる際の進め方の参考として、今すぐ活用できそうな方法です。

当事者の問題意識から始まった、透析患者の出張支援

次は、透析患者の旅行や出張を支援する一般社団法人「旅行透析」の取り組みです。同社は、自身も透析患者である代表の池間 真吾さんが、仕事の出張先で透析ができる病院を探すのに苦労した経験をきっかけに設立されました。旅先で利用できる日本全国約4000か所および海外の人工透析病院の情報を集めてデータベース化し、透析患者に紹介するサービスを展開しています。

旅先で透析ができれば、出張やワーケーションも問題なくおこなえますし、企業側も躊躇なく出張を提案できます。当事者の自己実現やフレキシブルな働き方の実践につながる、心強い仕組みです。

文化と経済的自立も尊重する「パープルハウス」

最後に、海外の事例として2000年にオーストラリアで設立された、透析施設「Purple House(パープルハウス)」をご紹介します。ここは先住民族のアボリジナルの患者さん向けに、文化や生活習慣も尊重したケアをおこなっている施設です。

この施設では、透析の実施に加え、The Bush Balm® social enterprise(ブッシュバーム社会企業)という事業をスタート。患者さんとその家族が「ブッシュバーム」という先住民族の知恵を活かした化粧品の生産に携わっています。治療を優先しながら、やりがいのある仕事を続けられる仕組みを作った好例です。

大切なのは、当事者の想いに応える具体的な仕組みや環境づくり

「病気になっても仕事を続ける」という状況を作るには、本人の意思の尊重はもちろん、困りごとやリスクを把握し、それを解消する仕組みや支援体制を作ることが重要です。「働きたい」という想いに応える環境づくりが、企業、そして社会に求められています。

EcoNetworks
Sustainability Frontline [原文はこちら]


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