アラベスク:危機の中の企業の持続可能性①
※本記事は、ESG評価機関アラベスクによる寄稿記事を掲載しています。
気候変動、新型コロナウィルス、ロシアによるウクライナ危機等、世界的な課題が同時に進行しており、企業を取り巻く環境は大きく変わってきています。CSRは企業の社会的責任の略ですが、このように世界的な課題が同時発生していると、企業自身、どのように社会的な責任を果たしていくのが良いのか、戸惑ってしまうでしょう。他方、投資家の立場としてESG投資を推進しようと思っても、最終的な投資判断に至るまでに、あまりにも多くのESG課題が介在していて、正しい判断を見出すことが困難になってきています。ウクライナに侵攻しているロシアに対して経済制裁を行っている欧州諸国に対して、天然ガス等のエネルギー供給を中止したために、欧州のエネルギー価格が高騰。インフレ圧力も高まる中、温室効果ガスの排出量削減のために減らしてきた石炭火力を再び稼働しないと、一般市民の生活は大きなダメージを受ける可能性があります。これまでのCSRやESGに関する考え方や発想が大きく揺らいでいます。
今回から数回にわたって、アラベスク・グループ会長のゲオルグ・ケルが米フォーブスの電子版に寄稿した「危機の中における企業の持続可能性」 から要点をまとめてお伝えします。初回の今回は「環境問題」です。
環境問題:戦略上の必須条件
政治的な覇権争いや経済活動の景気循環に関係なく、大気中に排出されているガスは蓄積し、地球のエコシステムを破壊し続け、私達が取り組める対策の選択肢はあまり残っていません。地球規模の変革を促進するためには、排出量取引制度を魅力的な水準にする必要があるでしょう。排出量取引制度は今後、社会の、特に金融市場の中心的なテーマになるはずです。 サイエンス・ベースド・ターゲット・イニシアチブ(SBTi)に参加している企業の数が増えていることからも明らかなように、企業はこれらの変化を予測し始めています。脱炭素化と環境に関するスチュワードシップ活動をこれまで以上に注力することを企業には強くお勧めします。長期的な投資収益を目指す投資家にとって、気候と自然環境のリスクおよびそれらリスク対応の機会を十分に説明することがますます重要になっています。
現在、世界各地でサプライチェーンの分断が問題となり、さらに原材料価格の上昇も加わり、原材料から販売を循環させるクローズド・ループにロジを設計するビジネスモデルが新しいビジネスの機会となっています。 「ゆりかごから墓場まで」の概念は数十年前から存在しています。しかし、同概念のように手厚い対応を取るよりも、「抽出、処理・加工、使用、廃棄」のフローはシンプルかつ費用対効果が有利なため、これまで検討されることはほとんどありませんでした。しかし、原材料価格の高騰によるインフレの長期化、プラスチックなどの分野で新たな環境規制が設けられることにより、企業はクローズド・ループによる循環型の新しいビジネスモデルに対して関心を持つようになり、その土台も整う可能性があります。
【参照サイト】 Georg Kell, “Corporate Sustainability In Crisis?,” June 13 2022.
2022/8/2
Arabesque S-Ray
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アラベスクは2013年に創業し、資産運用事業を中核にサステナビリティ金融事業を推進してきました。2018年にESGリサーチの社内ツールであったS-Ray(R)を独立したESG評価事業としてアラベスクS-Rayをスタート。データとAIを組み合わせたサービスに強みを持ち、現在はESG Bookという形でサステナビリティ情報とテクノロジーの領域を牽引しています。
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