「最近どう?」男性が精神的な悩みを相談できるヘアサロン
英国では毎週、125人もの人々が自死を選んでいる──そんなショッキングな事実を知っている人は、きっと少ないだろう。
英国でメンタルヘルスケア活動を行う慈善団体・CALMのデータによると、英国では週に125人が自殺で死亡しており、そのうち75%は男性なのだという。英国政府も、自殺は45歳未満の男性の主な死因の一つになっていると発表し、2018年には世界初となる「自殺予防担当大臣」を新設した。
そうした深刻な課題に対するアプローチが、2022年7月、首都ロンドンで登場した。英国のフィットネスアパレルブランド・Gymshark(ジムシャーク)が、精神的な悩みを相談できる男性向け理髪店をオープンしたのだ。同店はポップアップストアとして1週間限定で営業し、期間中は無料でヘアカットサービスを提供するという。
同店のスタッフは全員、メンタルヘルスに関するトレーニングを受けた理容師だ。そのためサービス利用者は、理容師との会話のなかで気軽に悩みを相談することができる。取り組みの目的は、悩みを吐露する場がない成人男性にとってのセーフスペースを作ることだ。
GymsharkがCALMと共同で行った調査によると、精神的な問題を抱える男性たちの多くは、医者やセラピストのもとへはなかなか足を運ばない一方で、理容室には足を運んでいることが明らかになったそうだ。そうした調査結果を踏まえ、Gymsharkは今回のキャンペーンの実施に踏み切ったという。
今回のキャンペーンは、Gymsharkが社を挙げて取り組む「DELOAD」というメンタルヘルスプロジェクトの一環だ。同社はフィットネスアパレルブランドとして、体を鍛えることを奨励する情報発信をSNS上で行うなど、身体的健康の増進に繋がる啓蒙活動を兼ねてから行ってきた。しかし、「ウェルビーイングのためには、肉体的な健康に加え、精神的な健康も必要不可欠」という考えのもと、精神的健康の維持・増進も促すために、新たにDELOADプロジェクトを発足させたのだ。
DELOADプロジェクトでは、米国のJEDや英国のCALMなどの慈善団体と提携し、今回のようなポップアップキャンペーンを行う他、ポッドキャストでの情報発信などを行うという。
新しい世代が自分が身にまとうブランドを選ぶ基準として、社会課題への取り組みの有無が、重要な要素の一つになりつつある。Gymsharkの今回の取り組みは、多くの男性のメンタルヘルスを向上させるものであると同時し、「人々のウェルビーイングの向上に積極的に取り組んでいるブランド」としてのイメージを高める好例だろう。
【参照サイト】
- Gymshark Deload | Weight Belongs In your Hands, Not Your Head | Gymshark Central
- ‘DELOAD BARBERSHOP’ BY GYMSHARK | CAMPAIGN OF THE WEEK
- Gymshark公式インスタグラム
2022/8/4
IDEAS FOR GOOD
[原文はこちら]
IDEAS FOR GOOD
IDEAS FOR GOOD は社会を「もっと」よくするアイデアを集めたウェブメディアです。最先端のテクノロジーから、思わず「なるほど!」と言いたくなる秀逸なデザインや広告、政府の大胆な取り組みにいたるまで、世界中に散らばる素敵なアイデアをお届けします。
IDEAS FOR GOODのホームページはこちら
- 月に1冊、本を届けます。アメリカの教育格差を縮める「想像図書館」 [Global CSR Topics]
- ガイドライン解説 [CSRレポートトレンド]
- CO2
- CSR
- CSRレポート
- CSR革新室
- ESG
- EU
- GRI
- IIRC
- SDGs
- YUIDEAセミナー
- アメリカ
- カーボンニュートラル
- サステナビリティ
- サステナビリティレポート
- サプライチェーン
- サーキュラーエコノミー
- セミナー
- セミナー開催
- ダイバーシティ
- プラスチック
- プレスリリース
- マテリアリティ
- リサイクル
- 中国
- 人権
- 再生可能エネルギー
- 取材記事
- 太陽光発電
- 情報開示
- 投資家
- 新型コロナウイルス
- 日本
- 東日本大震災
- 株式会社YUIDEA(旧:株式会社シータス&ゼネラルプレス)
- 気候変動
- 海外CSR
- 温室効果ガス
- 環境省
- 生物多様性
- 社会貢献活動
- 経済産業省
- 統合報告
- 統合報告書
- 自然エネルギー
- 電気自動車