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気温35度以上で追加料金。ベトナムの配送アプリがドライバーへの「猛暑手当て」を導入

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全国で厳しい暑さが続いているが、異例の猛暑となっているのは日本だけではない。ベトナムは、熱波の影響で日本以上に危険な暑さに見舞われている国の一つだ。地元の報道機関・Tuoi Tre Newsによると、ベトナム北部のホアンキエム地区・バーディン地区では2022年6月末に、最高気温55度を観測したという。

危険な暑さに見舞われた際、同地区では多くの人が外出を控え、街には人通りが少なくなったものの、生活のために屋外で働き続ける人たちもいた。

そうした状況を受けて、東南アジアでサービスを展開する大手配車・配送アプリ・Grabは、ベトナムで、気温が35度を超えると適用される追加料金を導入した。Grabの利用者は、タクシーを呼んだり料理のデリバリーを注文したりする際、1回につき5,000ドン(約30円)の追加料金をドライバーに支払うことになる。

ロイター通信の取材によると、同国でGrabドライバーとして働くグエン・トゥアン氏は、次のように語ったそうだ。「私の生活は、その日暮らしです。働かなければ、今日ご飯を食べるためのお金もありません。気象条件に関係なく、働かなければならないのです。そのため、追加料金の導入は良いインセンティブだと思います」

一方で、追加料金の導入は、危険な状況下でドライバーを仕事に駆り立ててしまうことにつながるのではないか、という指摘もある。

配送アプリのドライバーは、インターネットを通じて単発の仕事を引き受ける労働者──いわゆるギグワーカーで、その需要は、eコマースの成長や新型コロナウイルスのパンデミックによってここ数年で急増した。

しかしギグワーカーは、収入が不安定になりやすい、企業からの保障が受けられないなど、セーフティネットの脆弱性が兼ねてから課題でもあった。

さらに配送アプリのドライバーの場合は、長時間屋外で働くため、異常気象による影響を受けやすい立場にある。それにも関わらず、異常気象がドライバーにもたらす影響や、それに対する対応については、これまでほとんど議論されてこなかった。

ギグワーカーの増加と気候変動、どちらもドラスティックに進むなかで、ベトナムでのこうした一事例をきっかけに、議論が進んでいくといいと思う。

【参照サイト】

2022/8/19
IDEAS FOR GOOD
[原文はこちら]

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