【日本】金融庁、サステナビリティ情報を有報に新設の改正案公表。審議会の提言を反映
金融庁は11月7日、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの提言に基づき、有価証券報告書及び有価証券届出書の記載事項の改正案を発表した。12月7日までパブリックコメントを募集する。
今回の改正案では、まず、有価証券報告書に、サステナビリティ情報の『記載欄』を新設。サステナビリティ全般に関する「ガバナンス」と「リスク管理」は全ての企業の開示項目として設定し、さらに「戦略」と「指標と目標」は、各企業が重要性を判断して開示する。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)と同様の枠組みだが、サステナビリティに関する項目になっていることが特徴。
また、サステナビリティ情報を有価証券報告書及び有価証券届出書の他の箇所に含めて記載した場合には、サステナビリティ情報の「記載欄」で当該他の箇所の記載を参照できるようにする。
さらに、米国と同じように、セーフハーバールールも適用する。サステナビリティ情報等の将来情報の記載では、将来情報に関する経営者の認識及びその前提となる事実や仮定等について合理的な記載がされる場合や、将来情報について社内で適切な検討を経た上で、その旨が、検討された事実や仮定等とともに記載されている場合には、記載した将来情報と実際の結果が異なる場合でも、直ちに虚偽記載の責任を負うものではないことを明確にした。
同様に、サステナビリティ情報や取締役会等の活動状況の記載については、その詳細な情報について、任意開示書類を参照することができることを明確化し、また、任意開示書類に明らかに重要な虚偽があることを知りながら参照する等、当該任意開示書類の参照自体が有価証券報告書等の重要な虚偽記載等になり得る場合を除けば、単に任意開示書類の虚偽をもって直ちに虚偽記載等の責任を問われるものではないことを明確化した。
次に、サステナビリティの「記載欄」の「戦略」と「指標及び目標」に、人的資本及びダイバーシティに関する開示を必須記載事項に設定した。特にダイバーシティでは、女性活躍推進法等に基づき「男女間賃金格差」「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」の3つを公表している企業及び連結子会社は、有価証券報告書及び有価証券届出書への記載が義務化される。任意で追加的な情報を記載することも可能。
また。サステナビリティの「記載欄」を新設することに伴い、「記述情報の開示に関する原則」も改定。3つの推奨要件を記した。1つ目は、「戦略」「指標及び目標」では、各企業が重要性を判断した上で記載しないこととした場合でも当該判断やその根拠を開示すべき。2つ目は、気候変動をマテリアルとする場合、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の4つのフレームワーク全てを開示すべきであり、二酸化炭素排出量はスコープ1と2を積極的に開示すべき。3つ目は、「女性管理職比率」等のダイバーシティ指標では、連結グループにおける会社毎の指標の記載に加えて、連結ベースの開示に努めるべき。
別途、既存のコーポレートガバナンスに関する記載欄には、「取締役会、指名委員会・報酬委員会の活動状況」について記載する項目を追加する。取締役会や指名委員会・報酬委員会等の活動状況(開催頻度、具体的な検討内容、出席状況)、内部監査の実効性(デュアルレポーティングの有無等)及び政策保有株式の発行会社との業務提携等の概要の記載が義務化となる。
金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの提言には、他には、金融商品取引法の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に「一本化」する提言もあったが、同事項に関しては、詳細を同ワーキンググループで継続議論している。
【参照ページ】 「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表について
2022/11/10
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