経産省、「資源自律経済戦略」骨子案を公開。成長機会として認識すべきと強調
経済産業省は2月27日、「資源自律経済戦略」骨子案を公開した。
同省は、2020年5月に策定した循環経済ビジョン2020を踏まえ、国内の資源循環システムの自律化・強靱化と国際市場獲得に向けて、技術と規則のイノベーション促進を目指している。同政策の具体化に向け、経済産業省は2022年10月、成長志向型の資源自律経済デザイン研究会と資源自律経済戦略企画室を立ち上げ、2022年度中の戦略策定を目標としている。
資源自律経済デザイン研究会は、株式会社セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長の井阪隆一氏、東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター教授の梅田靖氏、旭化成株式会社代表取締役会長の小堀秀毅氏を含む12名の委員で構成される。
2月27日、6回目となる同デザイン研究会が開催され、骨子案が発表された。3章から成る骨子案の概要は、以下のとおり。
- 世界が直面する課題と目指すべき方向性
- サーキュラーエコノミーの目的:デカップリングの実現とウェルビーイングの向上(リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの非連続なトランジション )
- サーキュラーエコノミーを通じた「価値循環」による新しい成長、社会課題の市場経済化、資源循環市場の創出(新たな伸長が期待されるビジネス類型)
- 成長志向型の資源自律経済の確立に向けた政策対応のフレームワーク
- サーキュラーエコノミー実現に向けたトランスミッション:3つのギア(ギア①競争環境整備、ギア②サーキュラーエコノミーツールキット、ギア③サーキュラーエコノミーパートナーシップ)
1章 リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの非連続なトランジション
2章 サーキュラーエコノミーを通じた「新しい成長」
3章 成長志向型の資源自律経済の確立に向けた今後の方向性
サーキュラーエコノミー市場が今後大幅に拡大していく見込みであることから、成長機会として捉えることの重要性を強調。資源自律経済への対応が遅れると、多大な経済損失の可能性があるとしている。
最終章では、日本におけるサーキュラーエコノミーの市場化を加速し、国際競争力を獲得するべく、3つのギアを示した。ギア①の競争環境整備(規制・規則)では、4R(Reduce、Reuse、Recycle、Renewable)政策の深掘りとして業界ごとのライフサイクルアプローチを示した。二次市場の製品安全強化や、クリティカルミネラルの確保など海外との連携強化も挙げた。ギア②のサーキュラーエコノミーツールキット(政策支援)では、サーキュラーエコノミー投資支援、DX化支援、標準化支援、スタートアップ・ベンチャー支援を提示した。ギア③のサーキュラーエコノミーパートナーシップ(産官学連携)では、産(野心的な自主的目標の設定と取り組み・進捗管理)、官(競争環境整備と目標の野心度に応じたサーキュラーエコノミーツールキットの傾斜的配分)、協調領域の課題解決、国民運動・教育・経営方針などサーキュラーエコノミーのブランディングを挙げている。
現在、サーキュラーエコノミー移行に向けて世界で取り組みが活発化している。EUは2015年に「サーキュラーエコノミーパッケージ」を打ち出し、サーキュラーエコノミーを産業政策として位置付けている。日本では、環境省が「循環経済工程表」を公表、経産省は「資源自律経済戦略」策定に向けて今回骨子を発表した。2023年2月、日本経済団体連合会は「サーキュラー・エコノミーの実現に向けた提言」において、目指すべき方向性と取り組むべき課題を提示した。政府がこうした戦略などにおいて指針を示すことで、サーキュラーエコノミーへの理解醸成と協働が促進され、移行が加速していくことが期待される。
【参照サイト】
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