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「さわれる絵画」がヨーロッパ各地で広がる理由

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「作品に触らないでください」美術館でお馴染みの鑑賞マナーだ。作品を傷めないようにするためのマナーだが、目の不自由な人は、アートを楽しむ機会が限られてしまうかもしれない。

よりインクルーシブなアート体験を提供するには、どうすれば良いだろうか。ヨーロッパ各地では、絵画を立体化し、目の不自由な人が触って楽しめるようにする取り組みが広がっている。

フランス・パリに拠点を置くAssociation Valentin Haüyという団体は、複数の触れる絵画からなる移動式の展覧会「Tactile Tour(触れるツアー)」を開催している。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「ウィトルウィウス的人体図」や「岩窟の聖母」が、立体化されている。

同展では、作品を解説する音声ガイドも提供。目の不自由な人が、さまざまな感覚を使って有名な絵画を鑑賞できるようにしている。また、目の見える人が目隠しをして鑑賞する企画も用意。視覚障害への理解を深めてもらうことを目指している。

モダンアートなどを展示する、オランダ・アイントホーフェンのヴァンアッベ市立美術館にも、立体化された触れる絵画がある。同館は、嗅覚、触覚、聴覚などを使って鑑賞できる展示を行っており、そのなかにこの絵画がある。

多感覚を使って鑑賞する展示は、障害のある人のインクルージョンにつながるうえ、障害のない人にとっても、埋もれていた感覚を呼び覚ます、良い機会になるのではないだろうか。「なぜ多くの美術館では、視覚中心の展示が行われているのだろう」そんな疑問も湧きそうだ。

日本の徳島県でも、西洋絵画を陶板で原寸大に再現した大塚国際美術館で、作品を触ることができるという。さまざまな名画が、より身近に感じられるかもしれない。

レオナルド・ダ・ヴィンチが活躍した1400年~1500年代の絵画から、今の時代らしい新しい絵画まで、いつもと違う角度で楽しんでみたい。


【参照サイト】

2023/5/19
IDEAS FOR GOOD
[原文はこちら]

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