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勝利の裏側に汚染情報の錯綜
2004年12月28日、インドネシアの村人はニューモント・マイニング社に対する5億4300米ドル(約543億円)の損害賠償請求を取り下げました。6ヶ月間に及んだ訴訟は同社にとっては合法的勝利であり、インドネシアの村人にとっては公平な審判がされなかったという結果に終わりました。世界最大の産金会社であるニューモント・マイニング社の、インドネシアにおける事業の子会社、ニューモント・ミナハサ・ラヤが村人の健康を害しているとして始まった訴訟は、その決め手となる汚染情報が錯綜したなかで決着がつく形となりました。

訴訟によって行われたスラウェシ島の最北部、ミナハサにあるブヤット湾の水質調査では、世界保健機構とインドネシア政府環境省は、沿岸の水は汚染されていないと報告しましたが、同省の下部組織の調査によると、廃水処理が行われていた沿岸地域の毒性は、他の沿岸より100倍高いという結果が報告されました。しかし、インドネシア政府は2004年8月に、同子会社が行った不法な廃棄物の空気中や水中への放出が、住民の皮膚病や腫瘍の拡大を引き起こしたとしており、インドネシア政府自体の責任のあり方も懸念されます。


企業犯罪事件に発展
この2004年8月のインドネシア政府の発表後、地元警察は11月に同子会社の取締役員であるアメリカ人、オーストラリア人、3名のインドネシア人の計5名に対し、環境汚染を起こした企業犯罪の罪で証拠書類を提出しました。有罪となれば禁固15年になります。


水銀不法流出を認める
同社は2004年12月23日、5年間にわたって、水銀を大気中に17トン、水中ではブイヤット湾に16トン流していたことを認めました。同社は1996年から同地域で金の採掘・精錬事業を行っていますが、不法処理を認めたものの、その毒量はインドネシア政府が定める基準を満たしており、工場労働者や近隣の住人の健康を害していない。従って、村人の病気の原因は栄養不良や不衛生が原因だろうと主張しています。また、ニューヨーク・タイムズは、同社の関係者が「地元政府は工場から水銀が流されているのを認知していた」「これは新事実の発覚ではなく、誰にとっても驚くことでもなかった」と、地元政府が不法処理を黙認していたという主張も掲載しました。


調査執行への株主投票回避を要求
こうして訴訟は決着したものの、同社は弁護団を通し、米国連邦政府監督機関に村人が提出したごみ処理プログラムの見直し調査を求める提案を、2005年の年次総会で株主投票にかけることは回避するよう要求しています。

村人の提案内容は、同社がインドネシアでのゴミ処理プログラムを評価し、同社の採掘事業が潜在的に環境と人々の健康に与える害の度合いを明確にするというものです。この提案は、ニューヨーク市が市職員、教師、消防隊員、警察官の年金基金をもとに支援しています。


反ニューモント運動が各国に波及
インドネシアでの同社の問題は、同様の事業展開をしている国々にも影響を及ぼしています。ペルーではYanacocha鉱山付近で水銀を流出し、1,100名の住民の健康を害したと賠償訴訟が起こりました。トルコでのvacik鉱山の同年8月の閉鎖は、鉱石精錬過程における青酸カリ使用を巡るものでした。同社は米国ネバダ州でも、環境保護団体にフェニックス鉱山拡大が地下水汚染につながるとされ、対話を続けています。

インドネシアの村人と多国籍企業との戦い、そして海を越えて村人を支える地方自治体と環境保護運動家、無責任なインドネシア政府。本当に「決着」するためには、被害に直面している村人が納得できる解決策が必要とされています。

■ Taipei Times
Newmont wants to bar vote on probe into poisoning claim

■ The Sidney Morning Herald
Newmont admits mercury leak in Indonesia

■ RockyMountainNews.com
Villagers drop Newmont suit

■ 読売新聞の医療と介護のサイト
インドネシア「謎の病気」 頭痛やしびれ


金属鉱業事業団によるニューモント・マイニング社の概要

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