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CSR報告書(以下報告書)で成功を収めている企業には、どのような共通点があるのでしょうか。09月01日、米国NGOのThe Conference Boardが、CSR報告活動で注目を浴びている5社を対象に、それぞれの特徴と共通点を探った調査結果を発表しました。対象となった企業は、BP、HP、ノボ・ノルディスク、P&G、UPSです。どの企業も、企業全体が向かうべきゴール、活動結果やコンプライアンス力の評価などといった企業全体の活動に、報告書をうまく利用しているようです。また、CSRが生む価値を重視し、企業活動のより上流・中核においているという共通点も見られます。

[対象となった5社、それぞれの特徴]

The Conference Boardが取り上げている5社それぞれの報告書について、グリーン・ビズは以下のような特徴を記事にまとめています。

BPについては、エネルギー産業が生みだす燃料などの商品が環境へ与えるインパクトについての詳細な議論を紹介しています。IT産業から選ばれたHPは、技術エキスパートを採用し、「e-インクルージョン・イニシアティブ」という活動を展開しています。これは、デジタルデバイド(情報格差)の緩和を目的としており、米国国内だけでなく、低開発国も対象にしています。

医療品メーカーのノボ・ノルディスクの報告書では、世界中の人々の健康を目的とした糖尿病の治療や、その他のヘルスケアプログラムのインパクトを評価・分析しています。P&Gは、商品のライフサイクルアセスメントを行い、消費者向けの商品が確実に、責任ある方法で製造され、使用され、そして処分されるように確認している点が特徴的です。流通大手のUPSでは、消費者向けの輸送と事務的サービスの作業効率の向上を目指した奮闘が報告されています。


[リーディング・カンパニーに共通するCSR報告書のエッセンス]

これらの報告書の特色を踏まえ、The Conference Boardは5社に共通する点を見出しています。

最も重要な点は、社会貢献に関する考え方や価値が、企業ミッションやコーポレート・ガバナンスの中核に置かれているだけでなく、企業活動全体と強い結びつきを持ち、その企業のコア・バリューに反映されていることです。

また、社会貢献において、評価ツールを積極的に採用・多用している点も5社に共通しています。外部監査、ベンチマーク、マトリックス(例えばバランス・スコアカードなど)の継続的な改善を通して、常に社会貢献活動の向上を目指しています。こうすることで、ターゲットの設定や、ステークホルダーとコミュニケーションをとるための達成目標などの詳細な報告にも、非常に高い透明度を保つことができます。

さらに、広く知られている国際規格を報告書や評価過程できちんと適用していることも共通点として挙げられます。例えば、GRIガイドラインやAA1000、ISO14001、国連世界人権宣言ILOの多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言などです。また、大手会計法人やNGOなどによる独立監査を活用する傾向も見られます。外部のリソースを活用しながら、さまざまな国際基準をもとに、企業パフォーマンスのモニタリングや報告書制作を行っているのです。

加えて、サプライチェーン内で倫理行動を把握することの重要性も、共通に理解されつつあるようです。The Conference Boardの社会貢献コンサルタントで、この報告書の著者でもあるAmy Kao氏は、これらのリーディング・カンパニーについて、「今後、企業は自分たちが行うパフォーマンスだけでなく、サプライヤーの倫理行動に対する活動への認識を確保できる能力も評価対象になると信じている」と述べています。


このレポートは、全く異なる産業に属する企業の報告書から多くの共通点を抽出しています。業種間の壁を超えて現状を把握することで、多くのヒントを見いだすことができるのです。特に、日本の企業との違いが顕著なのは、企業のコアバリューとCSRの距離の近さではないでしょうか。企業の上流の活動とCSR報告書の内容をより近い位置で相互にリンクさせながら制作することが、CSR報告書に価値を持たせるヒントのひとつだといえそうです。

■グリーン・ビズ
Corporate Citizenship Reporting Playing Larger Role in Global Companies' Strategies

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