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BSR(Business for Social Responsibility)が、今月、新しい報告書「経済的影響を報告する」を発行しました。この報告書では、GE、マクドナルド、ノボ・ノルディクス、シェル、スターバックス、トヨタなど33の企業において、GRIガイドラインの経済性指標がどのように利用されているかの調査分析と、2006年度の改訂(G3)に向けて提言がされています。

BSRのディレクター、ダンスタン・ホープ氏は「経済的影響は、単なる企業の経済・財務面での健全性の変化ではない」と述べています。同氏によると、「例えば、企業は地域コミュニティや従業員の健全さに影響を与えます。つまり、その製品やサービスの販売を通じて、その国の生産性や競争力、経済成長などが影響を受けるのです」と説明しています。

来年10月のG3への改変を控え、各種のステークホルダーや地域、国家あるいは国際経済の経済環境が企業の経済的影響を測定するために2002年に設けられた経済性指標に関し、BSRはその改訂プロセスに参加し、指標の見直しを始めています。
BSR提言の要約は以下の通りです。

■BSR提言の要約■

1. 直接的経済的パフォーマンス指標についての提言
調査対象となった33社の経済性に関する記載内容について分析し、5つの傾向から以下の提言を導いています。

・残した方がいい指標:EC1、EC2、EC3、EC5、EC6、EC7、EC8
・取り除いた方がいい指標:EC4、EC9
・取り除いた方がいい追加指標:EC11、EC12
・社会的パフォーマンス指標に移動した方がいい指標:EC10
・EC7の記述に関しては、利益剰余金がどういった目的に使われたかの概要を記述すべき(例えば、R&D)。
・EC2、EC5、EC6の解説は不必要と考えられるため、取り除く。
・必須指標として「主要なステークホルダーの経済環境へのマネーフローの重要性の分析と記述」を加える。

2. 間接的経済性パフォーマンス指標についての提言
日本では、その記述はほとんど見られないが、BSRの調査では、GE、ナイキ、P&G、BT、グラクソスミスクライン、ノバルティス、ユニリーバの調査報告などがその分析対象となっています。
これらの企業は主に従業員や取引先への経済的影響から、国や事業活動全般に関する間接的な影響について述べています。

・間接的に経済影響を与える指標はGRIの分野別ガイドライン[*1]にあるような調査や開発のための分野に優先的に適応すべきである。
・EC13の記述は以下のように変更すべき。
「情報開示は、企業の影響に関する分析が、以下のステークホルダーにとっての重要な経済的事象を含んでいること;
□ 組織やその分野での生産性
□ 極めて貧困な地域での経済発展
□ 社会的あるいは環境的な状況を改善した経済的な結果
□ 低所得層が製品やサービスを利用しやすいかどうか
□ 技能や知識を高めたかどうか
□ 直接海外投資
□ ビジネスプロセスや活動の場所の変化による経済的影響
□ 経済的成長
□ 製品やサービスを利用する事による経済的影響

3. 特定地域での経済的影響に関する提言
これまではGRIガイドラインで言及されていたわけではないが、ユニリーバのインドネシアでの貧困撲滅への取り組みや日産自動車のイギリスサンダーランドでの長期に渡る経済的影響など、特定地域での経済的影響について情報開示することの有効性が認められるようになってきています。今後は特に、中国・インドでの報告に関心が寄せられています。

・新しい経済性指標として、「地域での経済的影響」という項目を加える。主要なステークホルダーにとって最も重要となる場所での直接的・間接的経済的影響について記述がなされ、売り上げ、雇用の変化、賃金や報償、直接投資額、税金、上流・下流の両方で産み出された利益など関連する経済的影響について述べられるべきである。


GRIガイドラインの経済性報告に関しては、グローバル企業を中心に、その報告内容が着実に充実してきています。日本の報告書ではまだ、十分に記載されているとはいえませんが、多くの業界別調査や市場調査などがなされていることを考えると、その下地は十分に整っているといえます。

【参照】現状の直接的経済的パフォーマンス指標
(GRIガイドライン)

必須指標
EC1: 総売上げ
EC2: 市場の地域別内訳
EC3: 製品、資材、サービスなど全調達品の総コスト
EC4: 違約条項の適用なしに、合意済みの条件で支払い済みの契約件数のパーセンテージ
EC5: 給与と給付金(時間給、年金その他の給付金と退職金も含む)総支払額の国ないし地域ごとの内訳
EC6: 債務と借入金について利子ごとに分類された投資家への配当、また株式のすべてのカテゴリーごとに分類された配当 - 優先配当金の遅延も含む
EC7: 期末時点での内部留保の増減
EC8: 支払税額の全種類についての国別の内訳
EC9: 助成金等についての国ないし地域別の内訳
EC10: 地域社会、市民団体、その他団体への寄付。金銭と物品別に分けた寄付先団体タイプごとの寄付額の内訳

任意指標
EC11: 組織別と国別の供給業者内訳
EC12: コアビジネスではない領域でのインフラ整備にかかわる支出
間接的経済的パフォーマンス指標
EC13: 報告組織の間接的な経済影響


■グリーンビズ
Report Examines Companies' Success in Applying GRI Economic Performance Indicators October 6, 2005

[*1]>> 分野別ガイドライン
現在、自動車、金融、鉄鋼・鉱石、公共事業、観光、通信事業について、補足ガイドラインが発行されている。準備中の分野には、アパレル・シューズ、エネルギー、物流・交通などがある。

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