2006年10月4日から6日かけて、アムステルダムで開催されたGRI主催の国際会議で、GRIレポーティングガイドライン第3版(通称G3ガイドライン) が発表されました。これに先駆け、早くも機関投資家が動き始めています。
INCR(気候リスクに関する機関投資家ネットワーク)に参加する、カルフォルニア州公務員退職年金基金(もしくは「カルパース」: California Public Employees Retirement System: CalPERS)や、ニューヨーク市会計検査官事務所(New York City Comptroller's Office)などが、S&P500に組み込まれている企業のうち、GRIが提唱するガイドラインに対応している報告書を発行している企業が、13%(66社)にすぎない現状に対して、今回新しく改定・発行されたガイドラインの第3版を活用するように、という要望を出しました。
カルパースは、1990年代以降、最も巨大で最もアクティブな機関投資家であるといわれており、企業に対して積極的に株主議決権を行使し、企業の体質改善につとめています。後者のニューヨーク市会計検査官事務所は、基本的にはニューヨーク市の会計監査を行っている団体ですが、930億米ドルの年金も運用していることから、カルパース同様、年金基金による機関投資家といえます。
特にG3では、経済報告のパフォーマンス指標として、気候変動による企業活動への経済的リスクと機会について記載することが掲げられており、今後、ESGs(環境・社会・ガバナンス情報)に配慮する金融機関から、GRIガイドラインを使った形での報告を要望する声は高まりそうです。
Investors Call on S&P 500 Companies to Use New Global Reporting Initiative G3 Guidelines