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倫理的な貿易を推進するキャンペーン、Ethical Trading Initiative(エシカル・トレーディング・イニシアティブ: ETI)の創設メンバーでもある、英国最大の小売業社テスコが、バングラデシュで違法とされている年齢の児童労働者が製造した衣料品を販売しているとして、英国のテレビニュースで非難されています。また、番組放映後すぐに、The Body Shop(ボディショップ)の創設者、アニータ・ロデック氏がこの問題に関する提言を発表しています。

【テレビの独自取材で児童労働が表面化】

この一連の問題は、2006年10月9日にチャンネル4が放映したニュースが発信源となっています。チャンネル4の取材班は、バングラデシュの首都ダッカに位置する、ハーベストリッチとエビンスの2ヵ所の工場で行った4ヶ月間の現地調査をもとに番組を制作しました。そのなかで複数の(工場で働く)子供たちがインタビューに応えており、児童労働の現状を浮き彫りにしたものです。

ハーベストリッチ工場での12歳の男子労働者へのインタビューでは、工場側は彼に年齢を聞くこともなく、彼が11歳である事を告げても、雇い入れたこと、そして200人から300人の児童労働者がいることを聞き出しています。さらに、1ヶ月に9ポンド(約2,000円)しか賃金がもらえないと告げる12歳の女子労働者の話がまとめられています。

バングラデシュの法律では、14歳以下の児童の労働は禁止されています。しかも、テスコはETIに属しており、ETI行動規範に記載されている、サプライヤーの児童労働の禁止及び国際基準を満たす賃金支払い義務、そして適切な労働時間の遵守、について十分に配慮されていないということが、今回の非難の対象となっています。

【テスコ、ボディショップ創設者、それぞれの主張】

テスコ側としては、この話が伝わる1週間前に4ヶ所の「抜き打ち検査」を行い、15歳以下の労働者がいることの証拠は発見できなかったこと、そして、バングラデシュの全ての工場は、昨年テスコと独立した専門調査官によって調査され、衣料品の製造が認可されていたことを伝えています。

この調査究明は今も継続していますが、一方で、この番組放映後、The Body Shopの元創設者アニータ・ロデックが、自身のブログサイトにおいて、今回問題になった児童労働に関して、テスコに求める行動として、下記のようなコメントを発表しています。

1) 子供たちは学校に行くべきで、搾取工場に閉じ込められるべきではない 2)テスコは(児童労働が見つかったからといって)取引先工場との関係を絶つのではなく、彼らと一緒になって工場を一掃していく必要がある 3) 工場の所在地や名称を明らかにするような透明性が必要である


【メディアと企業の社会的責任(CSR)の向上】

イギリスのチャンネル4ニュースは、2001年頃スターバックスが英国でも事業を拡大し始めた時、サプライチェーン上での問題を非難したり、2003年には中国の劣悪な労働環境や売春などが横行する現実など、政府がひた隠す事実を衝撃的にレポートしたりと、成長の勢いがある企業や組織に対する外部チェック機能を担ってきました。

今回も、上半期で記録的な収益を上げたテスコグループに対し、隠しカメラを使い、ジャーナリステックな方法で年月をかけて、この事実を取材し報道したとされています。こういったメディアからの批判によって、スターバックスのCSRへの取り組み状況がさら進展したように、テスコのこの批判に対応した新たな取り組みに注目していく必要があるといえます。


ギャップが初めて発行した社会責任報告書(2003, p24: Cambodia)にも記述があったように、児童労働の現場を確認する、もしくは児童労働があった証拠を得ることは状況によっては非常に困難であることも確かです。今回の出来事は、テスコ側はサプライチェーン内での監査を怠っていたわけではなく、既存システムが機能していなかったことが露呈したといえます。ロディック氏の指摘のとおり、児童労働問題が表面化した際に企業がとるべき行動は、契約解除といった従来の道ではなく「パートナー」として、いかに状況を改善できるかを探る道が求められているといえます。

Tesco hit by child labour row

  ※ETI  http://www.ethicaltrade.org/index.shtml 
   1998年にNGO・企業・労働組合などで構成されたNGO団体として
   イギリスで発足。ILO(国際労働機関)に定められた労働権に関連
   した基本的国際原則を指針として導入、(ETI Base Code、ETI 基
   本規範)、サプライチェーンに位置するサプライヤーの労働条件や
   生活を改善することを含めた企業行動指針の改善とその促進を、  
   メンバーであるNGO・企業・労働組合と共に行っている。


● チャンネル4のホームページ
※残念ながらビデオ映像はイギリスの外からは観ることができません。
Child labour making Tesco clothes

● アニータ・ロディックの提言
DISPATCH: Child Labour In The Garment Industry Is Back

● 児童労働問題への取り組みが払拭され、むしろ企業評価につながった例として、GAPの報告書の受賞があります。
ギャップ報告書:労働基準モニタリングが評価され、社会性報告賞受賞

● バンコクで開催された人身売買に関するセミナーでの報告です。児童労働の事実を発見する難しさを物語っています。
工場、児童労働に年齢偽称を強要

● 今日の児童労働が抱える問題の全貌をユニセフがまとめています。
今日の児童労働:ユニセフが全貌を明かす

● 「グローバルCSR調達:サプライチェーンマネジメントと企業の社会的責任」藤井敏彦/海野みづえ編著 日科技連出版社

● GAPの社会責任報告書について
2004年度版 「海外サステナビリティ報告書調査レポート2004」(株式会社ゼネラルプレス)

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