« ステークホルダーが企業を動かす!:安価なエイズ薬投入へ圧力(Abbott) | トップページ | 英・米の消費者動向:確実に変化しつつある消費者 »

スイスのCSRコンサルティング会社であるライフ・ワース (Lifeworth) は、CSRに関する世界の動きをまとめた年次報告を毎年発行しています。昨年の動向を描いた報告書『Tipping Frames: The Lifeworth Review of 2006(ティッピング・フレーム:ライフワース・レビュー 2006)』は、昨年の出来事とともに、CSRが社会変革を巻き起こしたと主張する理論を発展させたという点で新しいものであるといえます。

報告書のポイントは2つあります。
(1) ティッピング・ポイント――米国のジャーナリスト、Malcolm Gladwell氏の著書で紹介され普及した言葉で「ある考えやものが一気に変化する劇的な瞬間」
(2) 認知フレーム(cognitive frames)――概念の組み立てられ方(枠組み)で人々の認識が異なること



(1)ティッピング・ポイント
例えば、長い間、気候変動につては懐疑的な認識が主流でしたが、人道的な緊急事態であるという認識に急変しました。これは「tipped」されたといえます。ティッピング・フレームは、気候変動のように何か新しい枠組みを生むだけでなく、その他の新しい社会的な枠組みもティッピング・ポイントに近づける力を持っているのです。より良い社会の創造のためにシステマティックな変化が必要であると考える人々にとって、このコンセプトは非常に重要なのです。

このように気候変動は、CSRが既存の社会的枠組みの劇的な変化を生むための完璧な土俵であったことを示す良い例といえます。なぜなら、CSRはビジネス、政府、市民社会という複数のセクターに存在し、社会的に異なるネットワークの人々を繋げ、アイデアをすばやく広げることを可能にしますた。また、CSRは環境、健康、貧困、人権といった主要な社会的枠組みを形成し、公的関心事に直接的に関連するものでもあるからです。


(2)認知フレーム
ここでは、持続可能な消費(sustainable consumption)が例に挙げられています。現存の経済フレームは、お金の蓄積量(財産)によって力を得られる枠組みであり、ビジネスにとっては完璧なフレームといえます。しかし、このフレームは経済成長コストに、環境・社会的コストが含まれていない現状を覆い隠してしまうという欠点があります。

代替フレームとして、「green growth」がありますが、これも経済成長を目的とした枠組みの中で語られているにすぎず、「green economic growth (環境にやさしい経済成長)」を暗に意味しているといえます。私たちは、経済を中心とした枠組みから「社会的成長」を中心としたものに変化するべきときに来ており、社会に影響を受ける全ての人々のウェルビーイング (well-being: 身体的・精神的及び社会的に良好な状態を指す) を向上させるための、新しいビジョンを明確に打ち出す必要があるとしています。


究極のCSRの成功をはかる「ものさし」は何だろうか? 報告書では、俗人的な市場「seculared market」から、倫理的な市場「ethical market」への移行を可能にさせる能力ではかることができると紹介されています。倫理的な市場とは、市場が宗教的に則して機能するのではなく、むしろ、市場がビジネス活動や市場取引によって与える倫理的なインパクトや、その意味を考慮に入れて活動する市場を意味しています。(関 智恵)

SocialFunds.com
April 25, 2007
Corporate Social Responsibility: Perfect Playing Field for Tipping Points and Cognitive Frames


●レポートはこちら
『Tipping Frames: The Lifeworth Review of 2006』

コメントを投稿

※ブログの管理者が公開を承認するまでコメントが反映されない場合がありますので、ご了承ください。

このページのトップへ