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英国の社会的責任投資(SRI)調査機関であるEIRIS(Ethical Investment Research Service)が、責任ある企業活動に関する世界の企業に見られる現状と傾向、将来予測について分析した調査結果が発表されました。調査は、従来のSRIにおける倫理的な評価基準(ethical criteria)から、環境、社会、ガバナンス(ESG)に分野を特定しており、「コーポレートガバナンス」「環境」「平等な機会」「人権」「サプライチェーン」の各分野における動向と、地域・国別比較がされています。調査対象には23カ国を欧州、アジア・太平洋、北米の3地域に分類しているものの、全世界1,996社中、日本企業が424社(全体の約24%)含まれていることからも、特に日本企業にとっては有用な資料となりそうです。



[全世界の「責任ある企業活動」の現状――ESG情報から]

「The State of Responsible Business: Global corporate response to environmental, social and governance (ESG) challenges」と題された調査は、企業の責任ある投資が進む一方ですべての地域が同じように拡大しているわけではないと指摘しています。

調査によると、全世界において責任ある企業活動への取組みが最も進んでいる地域は欧州で、開発途上国などのリスクが高い地域で活動する企業の75%が人権方針を実施しており、米国の40%、アジアの20%を大きく上回る結果となりました。特に環境制度に関しては、欧州と並び日本も健闘しており、何らかの環境方針を整備する企業が90%に上っています。更に50%以上の欧州・日本企業で環境パフォーマンスにおける定量データの開示が進む一方で、米国企業では20%以下という結果になっています。

欧州においてESG分野の情報開示が進む理由として、様々な社会的背景が指摘されています。つまり、EU域内の厳しい環境規制、NGOの存在、サステナビリティに関する国民の意識の高さ、株主意識の高さ(企業に環境活動促進を要求することへの理解)、といった要因が欧州企業の責任ある企業活動への意識の高さを推し進めてきました。

また、米国企業については大企業での取組が進む一方で、中小企業や国内企業ではあまり進まず、株主やステークホルダーからのESG関連リスクや課題に関する情報開示への圧力があまりかからないという傾向にあるようです。


[ファンドマネージャーによるESG情報の活用]

EIRISのボブ・ゴードン氏は、ファンドマネージャーはESG関連課題に投資分析を関連させることで長期的な企業パフォーマンスに関する深い理解が可能になると指摘しています。ゴードン氏によると、企業の中には責任ある企業活動を実施・促進したことで明らかな利益向上につながったケースが存在しています。また、倫理的な消費者行動も増加しつつあることで、企業は倫理的なブランドイメージを構築することで一層多くの消費者を引き付けることが可能になるとしています。更に、倫理的な企業活動は、従業員の活性や生産性向上を促し、社内活動においても前向きな成果を生むことが可能となるのです。



社会的責任投資(SRI)における企業分析クライテリアは様々ですが、今回のEIRISの調査により、企業の責任ある行動をはかる指標としてESG情報が実効性のあるものとして明確に定義されたといえます。更には、従来、主流の投資活動とは別のものとして扱われてきたSRIが、主流の企業分析において長期的な企業成長をはかる指標として役割を果たすようになりつつあることが伺えます。

また、Full Report(EIRISのHPから入手可能)では、日本企業が環境分野において大健闘していることが明確に見られますが、一方で、人権、サプライチェーンなど、その他の分野では未だ多くの課題が残ることが浮き彫りになっています。もちろん、EIRISの調査は日本とは異なる文化を持つ評価機関が実施しているものですが、グローバル視点での企業評価であることからも、調査結果が語る現実に含まれる意味は大きいといえます。その他、今回ご紹介した以外にも、気候変動、HIV/AIDS、新興市場、水資源といった、最近見られる社会的課題に関する企業の動きに関しても告されています。

The state of responsible business:Global corporate response to. environmental, social and governance (ESG) challenges










[関 智恵]

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