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米系雑誌『Scientific American Earth 3.0』が、「サステナビリティ」に関して、専門家がよく耳にする誤解やステレオタイプについて、専門家へのインタビューをもとに10個にまとめて紹介しています。

社内や取引先の方々への普及や説得材料として活用してみてはいかがでしょうか。



<< 「サステナビリティ」 にまつわる10個のステレオタイプ >>


【ステレオタイプ 1】 「サステナビリティ」 が本当は何を意味するか、誰も知らない
【ステレオタイプ 2】 「サステナビリティ」 はつまり環境だ
【ステレオタイプ 3】 「サステナビリティ」 は「グリーン」と同義語だ
【ステレオタイプ 4】 「サステナビリティ」 はつまりリサイクルだ
【ステレオタイプ 5】 「サステナビリティ」 はお金がかかる
【ステレオタイプ 6】 「サステナビリティ」 は生活レベルを下げなければいけない
【ステレオタイプ 7】 「サステナビリティ」 の実現には、政府の仲介でなく、消費行動や草の根活動へのアプローチが最も早く効果的な道だ
【ステレオタイプ 8】  新技術の開発が決まった答えだ
【ステレオタイプ 9】 「サステナビリティ」 とは究極的には人口問題だ
【ステレオタイプ 10】 「サステナビリティ」 のコンセプトを一度理解すれば、持続的な生活を営むとは何かへの理解が容易だ



【ステレオタイプ 1】 「サステナビリティ」が本当は何を意味するか、誰も知らない

間違い。
サステナビリティ論の基点となるのは1987年に国連の環境と開発に関する世界委員会(通称、ブルントラント委員会)が作成した最終報告書“Our Common Future” (邦題『地球の未来を守るために』、通称「ブルントラント報告」)だ。同報告書では持続可能な発展とは「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」と定義されている。つまり、割り当てられたもの以上のものを消費するべきではないということだ。

しかし、少し視点を変えると、同定義は環境活動家が口にする、「環境保護」も「持続可能性」や「サステナビリティ」という言葉は一切使われていないのは興味深い。




【ステレオタイプ 2】 「サステナビリティ」はつまり環境だ

ブルントラント報告が作成された背景によると、従来は貧困国が富裕国と同じような生活レベルを達成するための方法に注目していたわけだが、その方法というのが、水、エネルギー、食料など環境に起因した天然資源を入手しやすい環境作りであった。

経済活動もまた全てが生物圏の上に成り立っており、生物圏が人間の生活の営みを可能にしてくれている。もしわれわれが、環境が消化できる以上の廃棄物を出してしまったら、明らかに将来世代が持つニーズを満たすことができない。

「我々の経済は我々自身で将来を盗み売り払うものである。それをGDPと呼ぶのだ(ポール・ホーケン)」



【ステレオタイプ 3】 「サステナビリティ」は「グリーン」と同義語だ

全てが当てはまるわけではない。
「グリーン」とは通常、人工的なものよりも自然に近いものを好むことを示している。現在65億人いる世界人口に加え、2050年までにさらに25億人が増えると予測されている。将来、これらの全ての人々が同じように、産業に多くを支えられている我々の快適な生活水準を享受できる可能性は低いといえる。もちろん、再生可能エネルギーはある程度活用されるだろうが、再生可能でないエネルギーと比較すると見劣りするだろう。

その点で核エネルギーは、その危険性と放射性廃棄物の問題が上げられてきたものの、その他のエネルギーと比べ、効率性の高さが再評価されつつある。実際、グリーンピースの創設者や多くの環境活動家が核エネルギーを支援するようになっている。このような現実を加味すると、「グリーン」は拡大解釈であり、むしろ「サステナブル」の方がしっくりくるかもしれない。



【ステレオタイプ 4】 「サステナビリティ」はつまりリサイクルだ

間違い。
リサイクルは1970年代に流行した環境ムーブメントで、もちろん今も変わらず重要な活動ではあるが、それはジグソーパズルのピースのひとつでしかない。現在、サステナビリティで最も重要な分野は「エネルギー」と「運輸」だといわれている。そのため、もしあなたがリサイクル活動をしてサステナブルな生活を送っていると考えているとしたら、もう一度考え直すべきだろう。



【ステレオタイプ 5】 「サステナビリティ」はお金がかかる

少し正しい。
既に長い間、「非」持続的な生活・経済活動を営んできた我々が持続可能な技術を活用するためには、例えば、既存の暖炉や白熱光電球、燃費の悪い車、工場や運輸システムなどから、新しいシステムへと移行しなければならない。そのための初期費用はある程度必要である。

しかし、例えば化学大手デュポンは、初期投資により1990年比で72%の温暖化ガス排出削減と20億ドルの費用削減に成功したし、米国国防総省は、3分の1のエネルギー使用を抑えることで費用削減とともに、リスクが高い海外資源供給への依存度も軽減できる取組を進めているように、先行投資が利益に繋がる事例は多くある。



【ステレオタイプ 6】 「サステナビリティ」は生活レベルを下げなければいけない

大きな間違い。
生活レベルを下げるのではなく、資源生産性を高めることで、衣食住が守られ、繁栄するというのが正しい。そうすることでさらに、革新がサステナブルな生活スタイルの核となり、強い経済成長のエンジンになるのだ。例えば、「気候変動」は最大の雇用創出プログラムだといえる。




【ステレオタイプ 7】 「サステナビリティ」の実現には、政府の仲介でなく、消費行動や草の根活動へのアプローチが最も早く効果的な道だ

間違い。
もちろん、草の根レベルの活動も必要だが、CO2排出量削減などの改革は、中央政府の介入なくして早急な変化を生むことは不可能だ。そのためにも、税制や資源効率性基準の遵守等の各種義務化は避けられない。

「天然資源減少がもたらす資源価格高騰は、最終的に人々の効率的な消費行動をもたらす」と論じる自由市場信望者にとっては反論もあるだろうが、この移行期がもたらす弊害は大変大きく、経済的混乱は避けられないといえる。経済的混乱・低迷の打撃を受けるのは企業やその労働者である。



【ステレオタイプ 8】  新技術の開発が決まった答えだ


必ずしもそうではない。
既存の技術を活用し、大きな変化を生む例もある。例えば、伊系資源会社は、従来各家庭が提供してきた、お湯を沸かすためのエネルギーから、お湯そのものを売るという方針転換を行ったことで、社内に資源効率性を高めるインセンティブが生まれ、利益向上につながったと報告されている。



【ステレオタイプ 9】 「サステナビリティ」とは究極的には人口問題だ

視点は正しいが、解決策が間違っている。
現在、地球が抱える65億人の人口は、2050年までにさらに25億人増加すると予測されている。このような人口増加を制限する最善策は、女性教育と途上国の生活レベル向上であるといわれている。しかし、同対策は、変化をもたらすのに大変な時間がかかる。現在挙げられている人口を制限するその他の対策は、例えば中国の一人っ子政策や自殺の奨励のように、人権を踏みにじるものしかない。

ここでもやはり、最も現実的な解決策は、ゴミを削減し資源を効率に活用することであるといえる。



【ステレオタイプ 10】 「サステナビリティ」のコンセプトを一度理解すれば、持続的な生活を営むとは何かへの理解が容易だ


そうでもない。
一見、持続可能なように見えるものも、実はそうではないことがよくある。例えば、とうもろこしからエタノールを作るバイオ燃料だ。これは再生可能エネルギーとして、ガソリンの代替燃料となる。一見、持続可能のようにみえるとうもろこし由来のバイオ燃料だが、実は食料の減産や価格高騰につながり、場合によっては熱帯雨林がとうもろこし生産農場として切り崩され、結果的にCO2排出を大幅に増やしてしまったという事例もある。

つまり、自分自身で商品が与える環境負荷について、ライフサイクル分析を納得がいくまで実施するまでは、「持続可能である」とは言い切れないということだ。さらに、技術や政府方針は常に変化するものであるため、理想的な「サステナブル・ライフ」のゴールに近づくためには、繰り返し熟考しつづけることが必要だといえる。


Top 10 Myths about Sustainability
March 2009 Special Editions
Scientific American Earth 3.0






[関 智恵]

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