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カーボンオフセットを「破滅的な攻撃だ」と評するメディア(こちら)や、「大気汚染促進策だ」と警告するNGO(こちら)がいる一方で、最近は第三者認証の広まりやカーボン・オフセットを活用する政府の増加などにより、全体的にはその利用数は増えているようです。

エコシステム・マーケットプレース(Ecosystem Marketplace)が226件のカーボン・プロジェクトをもとにまとめた『State of the Forest Carbon Markets 2009: Taking Root & Branching Out』で、カーボン・オフセットの最新動向が紹介されています。



英紙ガーディアンが2006年に掲載した記事でGeorge Monbiot記者(こちら)は、森林カーボン認証を好ましいと思わない人がいるだろう、また、カーボンオフセットは免罪符であり植林を破滅的に攻撃するものだ、と激しく非難しています。


しかし一方で、植林プロジェクトに出資することで企業が事業活動などで排出した温暖化ガスを相殺できるカーボンオフセット市場は、義務的ではない(ボランタリーベース)にもかかわらず、過去10年で大きく増加しています。エコシステム・マーケットプレースが最近発表した報告書によると、2009年前半に森林カーボン・クレジットの市場価値はすでに1億4,920億米ドルに達したと報告されています。

さらに、昨年末(2009年12月)のCOP15で結ばれたコペンハーゲン協定で、REDD(※2)を金融メカニズムに組込む必要性を認めた合意形成がされたことで、カーボンオフセットが市場に組込まれ、結果として透明性が高まれば、投資家の参加も増えると期待されています。



『State of the Forest Carbon Markets 2009: Taking Root & Branching Out』と題されたエコシステム・マーケットプレースの報告書は、226件の森林カーボンプロジェクトを対象に調査が行われています。226件のうち90%が店頭でのカーボンオフセットの販売によるもので、6%が米シカゴ気候取引所(Chicago Climate Exchange、CCX)市場、4%(9件)が主流市場での取引を介して行われたものでした。

さらに、過去20年間で約7,000トンのカーボンがカーボンオフセット関連プロジェクトを通じて吸収されました。また2007年以来、カーボンオフセット市場には1億米ドルが投資されています。この1億米ドルを投資することで1,200万トンのカーボンを吸収することができます。


一方、第三者認証を実施するカーボンオフセットの販売状況については、店頭取引商品では2002年に全体の15%を占めていたのに対し、2009年前半ではすでに96%を占めるまでに増加していると報告されています。さらに、政府・国際レベルでREDDによる排出量削減交渉で関連プロジェクトへ出資することが宣言されたことや、米国で環境政策に進展がみられることから、今後は資本が伴った国内での森林オフセットやREDDを通じたオフセットが増えると予測されています。

ただ、このようにカーボンオフセットが投資機会だとする投資家の見方がある一方で、明確な法的枠組みが整うまで実際に出資せず、様子をみている投資家も多い、とも報告されています。




(※1) カーボンオフセットの増加を警告する団体について、以前ゼネラル・プレス社CSRニュースでもご紹介しました。カーボン・オフセットは「大気汚染促進策」だと警告したフレンズ・オブ・ジ・アース(FoE)の例です。 「FoE 「カーボン・オフセット」 を大気汚染促進策と非難」(ゼネラル・プレス社CSRニュース2009年10月01日)

(※2) REDD:Reducing Emissions from Deforestation in Developing Countries:途上国の森林減少を緩和に関連する排出量の削減 →CDMとの違いについてはこちらの資料でまとめられています(PDF)。 「植林CDMとREDD - 動向と課題:PROGRESS AND ISSUES IN AR-CDM & REDD」



Report Details the Growth of Market for Forest Offset Credits
January 20, 2010
SocialFunds.com



●エコシステム・マーケットプレース(Ecosystem Marketplace)が森林カーボンオフセットに関する動向をまとめた最新の報告書
Ecosystem Marketplace Surveys the Forest Carbon Frontier







[関 智恵]


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