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主流投資家の興味深い変化をソーシャル・ファンドが伝えています。

今年も各社が株主総会を開催し株主投票・決議が行われました。すでに環境関連の決議2件が株主からの大きな支援を得る結果となりました。

1件目はコカコーラ社の環境ホルモン(BPA)関連の情報開示を求める決議が22%、2件目はMDU Resources(資源会社)の石炭灰への環境配慮努力を求める決議で、なんと25.6%を獲得しています。

【CASE1:コカコーラ社の株主が環境ホルモン(BPA)への懸念を表明、22%を獲得】

1件目はコカコーラ社での株主決議で、コカコーラの缶詰めボトルの内張りに使用されている化学物質「 ビスフェノールA (BPA)」(※)の安全性に関する情報開示を求めたもので、株主投票で22%の支持を獲得した結果となりました。同議案は、Domini Social Investments、As You Sow、Trillium Asset Managementにより提出されたものです。

SEC(米証券取引委員会)規制によると、株主投票で3%の承認を得れば次年度に再度議案提出を行うことを認められています。一方、多数の投票を得た際には企業はアクティビストと呼ばれる株主と協議を進め、合意点を模索します。

「 ビスフェノールA (BPA)」に関しては各国で見解が若干異なっており、カナダの規制当局は「有害科学物質」と定め、人間と環境への接触を制限するための積極的な取組みを求めています。一方、米国の米食品医薬品局(FDA)は、2008年に「現状のレベルで乳児から成人まで食品による接触は安全だ(http://www.bisphenol-a.gr.jp/kenkai100205.pdf」と結論付けています。しかし、学術界はFDAの結論は「不適当」との見解を示しています(日本政府の見解は※をご参照ください)。

2010年1月、FDAはこの2008年に出した結論を見直す内容の見解を発表し、BPAが胎児、幼児、子供に影響を与える可能性があるとの懸念を示しました。

今回の決議は、米大手株主決議助言会社の2社であるRiskMetrics GroupとProxy Governanceからの支援も受けています。

今回の議案を提出した株主のうちのひとつ、As You SowのCSRプログラム責任者は、コカコーラ社のBPAが健康に害がないとする姿勢は、近年の規制強化や消費者の関心の高まりを受け、法規制、競争力の低下などの企業リスクにさらされている。コカコーラ社はこのような財務的リスクに関する情報を投資家に開示していない、と述べています。



【CASE2:MDU Resources(資源会社)に石炭灰への環境負荷・有害物質の軽減努力を求める、25.6%獲得】


As You Sowの株主総会での議案提出は今年に入って2件目となり、1件目はMDU Resources に対して同社が排出する石炭灰に対する環境負荷や有害物質の軽減努力を求めたものです。

同議案は株主投票で25.6%の承認を得る結果となりました。今年の株主総会シーズンでは、石炭灰への対応を求めた株主決議が3件予定されていますが、同議決が初めての投票結果になります。その他2件はSouthern CompanyとCMS Energyでの決議投票が予定されています。



First-Time Environmental Resolutions Win Strong Shareowner Support
April 28, 2010
SocialFunds.com



●関連情報
コカコーラ社へのBPA決議に関してはAs You Sowのウェブサイトでも詳しく紹介されています。
Environmental Health: Bisphenol A (BPA)


※ビスフェノールA(BPA)について

特に乳児用哺乳瓶、缶詰め、プラスチックボトルなどから溶け出すことが問題視されているようです。以下は厚生省ウェブサイト、食品安全委員会からの抜粋です。

これまでに内分泌系などへの影響を調べるための試験研究が数多く行われてきており、動物の胎児や児動物が、従来の毒性試験より有害な影響がないとされた量に比べて、極めて低い用量のBPAの曝露(接触)を受けると神経や行動、乳腺や前立腺への影響等が認められるという報告がされている。ポリカーボネート製のほ乳びんについて、授乳期中の工夫として、他の材質(ガラス製など)のほ乳びんを使用することも選択肢のひとつと考えられることなどの情報提供を厚生省が行っている。

成人の場合、ビスフェノールAの主要な接触源としては、缶詰が指摘されています。妊娠されている方がこのような缶詰食品を多く摂取することにより、胎児がビスフェノールAに接触する可能性がある。

ただ、近年、食品缶や飲料缶について、他の合成樹脂を容器に用いるなどの技術改良により、ビスフェノールAの溶出が少ないものへ改善が進んでおり、通常の食生活を営む限り、ビスフェノールAの接触は少ないものと思われている。

技術改良とは主に、缶詰容器には、金属の腐食を防止するため、内面にポリエチレンテレフタレート製のフィルムが張られているものがある他、ビスフェノールAを原料とするエポキシ樹脂による内面塗装がされているものが多くある。

特に国内で製造される缶詰容器については、ビスフェノールAの溶出濃度が飲料缶で0.005ppm以下、食品缶で0.01ppm以下となるように、関係事業者によって自主的な取り組みがなされてきており、2008年7月には業界としてのガイドラインが制定されている。しかし、2006年の食品缶の国内流通量は、114.2万トン(国産31.9万トン、輸入 82.3万トン)で、輸入品が全体の72%を占めており、食品缶は輸入品がほとんどだ。一方、飲料缶の国内流通品は331.6万トン(国産325.5万トン、輸入6.1万トン)で、ほとんどが国産品となっている。

・ (食品安全委員会ウェブサイトより)

・ (厚生省ウェブサイトより)





[関 智恵]


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