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持続可能で責任ある投資を促進する欧州フォーラムEurosif(European Sustainable Investment Forum)が実施した、新興国企業におけるCSR・サステナビリティ報告書の発行状況に関する調査において、CSR報告書の発行数の増加が確認されました。

(Source: ESG Transparency and Performance Improves Among Emerging Market Companies )


同調査は、新興国企業においてどの程度、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する情報開示が進んでいるかを調べたものです。

今回で5回目となる同調査では、スイスのサステナビリティ格付け機関Inrateの調査をもとにアジア、東欧、南米、アフリカ、中東などの新興地域に本社を構える企業721社を対象としています。これらの新興国の取組み状況は、MSCI Developed Market Index.に含まれる先進国1605社の取組みと比較されています。


【 新興国企業が抱えるリスク 】

最近の新興国の成長は目覚しい一方で、大きなリスクを抱えているのも事実です。同報告書によると、天然資源の搾取、環境汚染、不平等な賃金などがリスクに挙げられています。そのため、「新興国での持続的なビジネスを推進するため、成長経済や直接資本を活用したいと考えている投資家は、現地企業がいかにサステナビリティに関わる課題に取り組んでいるかを理解する必要がある」と報告しています。

「その前提となるのはESG情報に関する透明性」で、新興国企業のESG情報の開示状況は今も先進国と比べて遅れているものの、この状況は近年改善しており、2010年の(Eurosif)の報告書では、新興国企業の約90%が「何かしらの環境・社会関連情報を開示していることがわかっています。そして、同報告書によると、この背景には、証券取引所の存在があるようです。


【 新興市場における上場規制 】

2010年6月、ヨハネスブルグ証券取引所(JSE)は企業450社超に対し、統合報告書(アニュアルレポートおよびCSR報告書)の作成を要請し、さらに南アフリカのその他4機関と共同で、統合報告書の好事例などをまとめたガイドラインの作成を目的に、IRC(Integrated Reporting Committee )と称した委員会を設立する方針を発表しました。2002年には、ブラジルの証券取引所(BM&F Bovespa)がサステナビリティ・インデックスを開発し、結果として「100%のブラジル企業がESG情報を開示」することになりました。


【 開示内容はまばら 】

ただ、開示内容としては、第三者保証を行っている企業は少数で、ESGの各項目の中でも環境情報が最も多く、そのうち42%が環境方針や環境に関するステートメント(声明)を出すにとどまっており、取り組み内容・成果に関しては開示がまだ進んでいません。この理由のひとつに、例えばJSEでの上場基準では企業は温暖化ガス(GHG)の排出量削減などといった、気候変動への対応に重点が置かれていることが挙げられています。


【 新興国向け投資家への助言 】

また、同報告書では、多くの資産運用マネージャーはガバナンス項目を、「新興国投資戦略を精査する際の最重要項目」として挙げていることも報告されています。ガバナンス項目は環境・社会と比較するとかなり多く開示されているものの、同報告書では投資家に対し、「(各国の)政情や企業文化の相違により、新興国企業におけるESG活動は各社対応が異なる」と忠告しています。そして、「投資家は効果的なサステナビリティ投資戦略の確立にはESG関連の法規制の動向を把握し、現地の市場情報を取得することが必要で、それにより投資家は良い成果を得られるだろう」とも報告しています。


●Eurosifの報告書 Emerging Markets


ESG Transparency and Performance Improves Among Emerging Market Companies
December 10, 2010
SocialFunds.com






[関 智恵]

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