これまで自主的な取組として扱われてきたCSR(サステナビリティ)報告書について、英紙ガーディアンは、自主的では十分ではなく今やサステナビリティの実現に向け、報告書に対する全世界的な合意が求められている、と述べています。
今月20日に開催するリオ+20各国首脳が集まる会議にて企業が発行するCSR報告書に関する全世界的なコミットメントが得られる、という唯一決定的で確実な結果が出る可能性が期待されています。
ブルームバーグが実施した調査によると、調査対象企業の約4分の1がアニュアルレポートにてキャッシュフローや負債データと同様にCSR・サステナビリティに関連した情報を開示しています。
さらに、イスタンブール、ヨハネスブルグ、サンパウロ、シンガポールの各証券取引所では、上場する企業に対する環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する課題への真摯な取組が求められています。
株式指標や格付けにおいても同様で、Dow Jones Sustainability Index(DJSI)、FTSE4GOOD指数シリーズ、the NASDAQ Global Sustainability Indexなどでサステナビリティ指標が導入され投資判断にESG情報が活用されています。
しかし、まだこれでは十分とはいえません。年金基金および機関投資家で構成される団体Corporate Sustainability Reporting Coalition(CSRC)(運用資産総額2兆米ドル、約159兆円)や、国連団体、NGO団体は既存の自主的な活動は既に限界を超えている、と指摘しています。
グリーンエコノミーへの移行を後押しし、必要な透明性と比較可能性を提供するCSR報告書づくりのために、グローバルなフレームワーク策定に向けて機が熟しているといえます。その理由は以下の3点です。
(1) 既に複数の国(中国、デンマーク、エクアドル、インド、ノルウェー、シンガポール、英国)にてCSR報告書の義務付けに向けた政策草案が作成されている、もしくは既に政策化されている。しかし、企業は各国ごとのガイドラインではなく、グローバルなガイドラインを必要としている。これにより効率的で低コストでの取組が可能となる。
(2) 既に基盤となる国際的なフレームワークが存在している。例:GRI、国連グローバルコンパクト、カーボンディスクロージャー、International Integrated Reporting Council(IIRC)
(3) 上場企業に対する調査に回答した企業のうち80%はCSR報告書に関する国際的な取組を進めたいと考えている。CSR報告書発行の義務化に反対している企業は30%のみだった。
リオ+20では各国首脳は多くの決断を迫られることでしょう。なかにはCSR報告書を広く普及させ、重要性を強め、法的要素を持たせるようになる決断もあるかもしれません。各国首脳は、確実で強力な環境、社会、経済の実現を約束する栄えある政治的選択の一つとしてこのような決断もあることを認識しているべきでしょう。
Time is ripe for a global commitment on mandatory reporting at Rio+20
31 May 2012 Guardian
[関 智恵]