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2012年10月23-26日、ニューヨークで開催されたBSR(※)が開催した会議で、途上国向けESG投資の内容が変化しつつある現状が話されました。

新興国市場の成長に伴い、今後は中間層や消費の拡大に注目した投資が増えそうです。特にブラジルでは、サステナビリティに特化した投資から、市場全体を鑑みた投資にシフトしていく可能性もある、と専門家は指摘しています。


【 変わりつつある新興国向けESG投資 】

現在、多くの環境、社会、ガバナンス(ESG)情報をもとに行われている新興国向け投資は、インフラストラクチャー・プロジェクトか、もしくはリスク回避を目的としたものが中心です。しかし、この構造が変わりつつあるのです。

特に投資家は、ブラジルや中国などの新興国において存在が目立ち始めてきている、「新しい階級の潜在的顧客」を対象にした事業機会や現地ビジネスにもっと注目すべき、と同会議の金融専門家を招いたセッションにて、パネリストは指摘しています。

【 「今、われわれは岐路に立たされている」 】

三井住友信託銀行の川添誠司氏は、今われわれは岐路に立たされている、と述べています。「これまでの新興国の成長は、民間によるインフラ投資に支えられてきたが、今後は中間所得層の増加が進み、この層を対象にした投資が進むだろう」と指摘。

南米の企業に対する投資・資産運用を行う ItauAssest ManagementのPaulo Corchaki氏は、特にブラジル市場は有力だと述べています。

【 ブラジル市場が有力 】

同氏によると、これまでの多くのブラジル向けESG投資は、バイオ燃料などサステナビリティ関連のものでしたが、これらの産業規模はブラジルの国内総生産の半分程度にしかなりません。これはつまり、今後、国内消費者全体を対象にした事業を支援することで、大きなビジネス・チャンスを得られる可能性が潜んでいることを示唆しているのです。「ブラジル市場における最大の変化は中間層、そして消費の拡大」。

【 ティア2企業にチャンス 】

世界銀行のIFC Financial Markets Sustainability GroupのMiguel Martins氏によると、さらに業界ナンバー2企業(ティア2企業)にもESGを活用することで差別化を生み、ビジネス・チャンスを得る機会がある、と指摘。

例えば、南アのWIZZITは顧客が銀行取引の際に携帯電話を主体とする、という画期的なサービスを生み出したことで銀行業界全体のルールを変えました(※※)。さらに同行の取組みはティア2銀行がサステナビリティ・ビジネスに注目し小規模ビジネスを支援した好例ともいえます。

【 新興国向けESG投資の着眼点 】

その他、新興国向けのESG投資については、各国の政策を注視すること、女性支援につながるサービスや製品に注目することで高い投資レバレッジが得られる可能性がある、投資の際は長期的視点に立つこと、そして投資候補の企業のESG社風に注目、などのポイントが同パネルでは話されました。詳しくは以下リンクの記事をご覧ください。

(※)BSR
米NGO。ホームページはこちらです。
企業のサステナビリティ経営に関するコンサルテーションを手がける。メンバー企業は300社以上(同ホームページによる)。

(※※)WIZZIT
南アの銀行。ホームページはこちらです。
こちら「南アフリカのモバイルバンキング- Wizzit-」では画像でその取組みが紹介されています。

WIZZITについては、WRIの「The Next 4 Billion」でも取り上げられています(104ページ)。→「バーチャル・バンキング:南アフリカBOP向けの銀行」


ESG in emerging markets shifts from risk to opportunity
October 29, 2012
GreenBiz.com

●BSRの会議の詳細 動画で会議のハイライトが見られます

●BSRの会議でのパネリスト・スピーカーについて Plenary Speakers

●三井住友銀行の川添氏のインタビュー こちらからご覧いただけます。







[関 智恵]

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