制作フロー

コミュニケーションツールの制作フロー

CSR報告書をはじめとするCSRコミュニケーションは、製品やサービスのPRとは異なり、長所・短所を含め企業そのものを理解してもらい、ステークホルダーが持つイメージ、期待や不安とのギャップを埋め、真の企業価値を伝えるものです。ここではCSRコミュニケーションを実施する流れをご紹介していきます。

制作フロー

レポーティングは社内外の関係者を巻き込んだプロジェクトです。CSR活動自体の推進に役立てるため、事前に全体像を意識し先を見据えておくことが効果的です。次年度以降への課題が継続的に意識されるように、関係者と定期的に共有・リマインドすることが重要です。

企画・全体設計(1カ月)
  • 「何のために」「誰に」「何を」「どのように」といった全体像を設計
  • 具体的な使い方の計画
  • 中期的な目標を設定
取材・撮影・原稿制作(1~2カ月)
  • 企画内容に沿った取材、撮影
  • 原稿フォーマットの準備、各担当者による執筆
  • 画像素材の収集(アングル、ピントが合っているか、データの解像度などに注意)
  • 第三者意見の執筆に関する調整(外部有識者の意見はCSR活動推進にドライブをかける要因になる)
編集・デザイン(1~2カ月)
  • 原稿整理(必要な素材が集まっているか)
  • デザイン(参考にしたい事例など具体的なイメージをもって進行する)
  • 校正、表記統一(CSRコミュニケーションとしてふさわしいか)
印刷・Webサイト構築・多言語版への展開など(1~2カ月)
  • 印刷(環境・社会に配慮したさまざまな印刷・製本の方法がある)
  • Webサイトの運用(即時性を活かした定期的な情報発信)
  • 多言語版などへの展開(各国の文化的背景への配慮、言語の違いによるデザイン調整)

CSRコミュニケーション全体の設計

2000年前後に発行され始めた環境報告書から、社会環境報告書、そしてCSR報告書やサステナビリティレポートへと、企業のCSRを伝えるメディアは、その内容も表現も大きく変遷してきました。
報告書の役割は、説明責任を果たすための「アカウンタビリティ」のツールから、ステークホルダーに読まれる・対話することを意識した「コミュニケーション」のツールへと変化し、その手段やメディアの利用も多様化してきています。インターネットの普及に伴いWebサイトを使った報告は増加しています。

こういった背景のもと、効果的なコミュニケーションを行うためには、まず初めに「何のために」「誰に」「何を」「どのように」といった全体像を設計する必要があります。また、単年ではなく中期的な目標を設定することを推奨します。

何のために?――CSRコミュニケーションの目的

コミュニケーションの目的は、一つの答えが用意されている訳ではありません。企業の状況に合わせた、その企業らしい目的を明確にすることがプロジェクト成功の秘訣です。

例えば、以下のような「ビジョンの共有・確認」「プロモーション」「内部チェック」「信頼性の確保」という4つの目的で整理してみても良いでしょう。1つのコミュニケーションツールで複数の目的を達成したい場合には、主たる目的と付随する目的を整理し、優先順位を事前に設定しておくことが重要です。

また、ステークホルダーの期待や不安、企業イメージと、企業活動とのギャップを埋めるということも重要な目的の1つになります。

コミュニケーションの目的4分類

コミュニケーションの目的4分類

誰に?――ターゲット設定

目的を明確にすることで、ターゲットも自ずと見えてきます。「信頼性の確保」を深く考えていった先に、機関投資家、調査機関向けにESG情報を評価される形で届けるという目的が見えるかもしれません。「ビジョンの共有と確認」を考えていった先にそれが「従業員」へのCSRマインド浸透なのか、「グループ会社」「取引先」への企業文化の理解促進なのか、といった対象の違いが見えてくることでしょう。情報を伝えた後、そのターゲットにどのように変化してもらいたいかを意識し、その効果測定まで準備できることが望ましいといえます。

近年では、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトやSRI調査機関のアンケート対応への要望も高まっています。取り組みをきちんと評価してもらうためには、CSR報告によるESG情報の開示が重要となります。

CSR報告はマルチステークホルダーが対象であると明記されていることが多く、総花的になってしまい伝わりにくいという側面があります。しかし裏返してみると、特定のターゲットにも読んでもらえる可能性があるといえます。目的に合わせて内部である程度ターゲットを設定しておくと効果的です。

何を、どのように伝えるか?――メディアの使い分け

目的やターゲットが明確になったところで、具体的なツールへと落とし込んでいく際、メディア特性を踏まえることが重要です。まず冊子とWebサイトでは、次のような特性があります。

冊子

  • ポータブル(持ち運びが可能)
  • 一覧性(表現内容の全体像を比較的簡単に把握可能)
  • 現実性(実際に手に取ってみることができ、手元に残りやすい)
  • 確定性(印刷物としてその年度の掲載内容が確定される)

Webサイト

  • リッチメディア(網羅的であり、保管が容易である)
  • グローバル(インターネット環境があれば入手できる)
  • 即時性(タイムリーに情報を開示することができる)
  • PDF、ebook、動画や音声で情報を伝えることができる
  • 検索容易性
  • 印刷物に比べ環境負荷が少ない

メディア特性を踏まえ、さらにはアニュアルレポート、会社案内、採用ツールなどさまざまな企業コミュニケーションツールの中にCSR情報を盛り込んでいくこともあります。コミュニケーションツールを幅広く視野に入れ、目的・ターゲットによって最適かつ総合的なコミュニケーションを設計していきましょう。

コミュニケーションツールの目的と種類

コミュニケーションツールの目的と種類

効果測定と積極的活用

読者、ステークホルダーに事前に意図した変化をもたらすことができたのか?効果測定を行い、PDCAサイクルを回すことは重要です。対象が社員で、CSR浸透を目的としたコミュニケーションであれば、社員へのヒアリングやアンケートを実施しましょう。 CSR報告書を読む会の開催などによって、他社レポートとの読み比べや自社のレポートを深く理解する、あるいはその場で出た意見を次年度のレポート制作に活かしていくことも有効な手段となります。

また、Webサイトであればアクセス解析を行うのも一つの方法です。

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当社は「企業のファン創り」に貢献することをめざすコミュニケーション・プロデュース会社です。環境・CSRの分野では2000年頃から報告書制作と独自調査を行い、のべ950社以上の支援を行ってきました。豊富な経験で培ったノウハウと最新のトレンド分析で、CSRコミュニケーションをサポートします。ぜひお気軽にご連絡ください。

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