レポート事例集

WICIジャパン統合報告表彰2019より、統合報告の2つのポイント

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2019年12月、国内上場企業の優れた統合報告書を表彰する「第7回WICIジャパン統合報告優良企業賞」(WICIジャパン主催)の審査結果が公表され、表彰式が開催されました。

表彰式では、審査員から2019年のレポート全般への講評と、受賞企業への個別の講評がありました。今年の表彰では、「トップメッセージ」と「財務戦略」についてのコメントが多かったため、今回はこの2つの開示ポイントと、評価された事例を合わせてご紹介します。

本表彰制度の概要や、最新の受賞企業レポートはこちらをご覧ください↓
「WICIジャパン統合報告表彰」


【ポイント1】トップメッセージ:明確で、わかりやすくトップが語っているか?

統合報告書のトップメッセージは「企業全体の方向性」を知るうえで重要な項目です。WICIの審査ポイントには、トップメッセージで示すべき項目は明記されていませんが、トップメッセージでトップが語っているテーマや項目は、企業にとって重要性が高いと判断でき、読者が注目するページとなっています。

統合報告優秀企業大賞受賞事例:日本精工株式会社「NSKレポート2019

  • トップメッセージの内容がわかりやすく、重要なポイントが明確
  • 前中計の振り返りと新中計の概要、中長期のリスクとESGへの取り組みがコンパクトにまとまっている
  • 下線やレポート内の関連ページも示されており、読み手への配慮が感じられる

p5-6

【ポイント2】財務戦略:資本コストを意識しているか?

資本コストとは、企業の事業資金調達に係るコストで、「株主資本コスト」と「負債コスト」で構成されます。 WICIの評価のポイントには「経営執行陣が資本コストを自覚し、上場企業として株主への意識、及びその他のステークホルダーへの配慮とのバランスをもって経営に取り組んでいるか」とあり、資本コストに対する考え方を示しているかが評価されます。

統合報告優秀企業賞受賞事例:コニカミノルタ「統合報告書2019

  • CFOメッセージで分かりやすく資本コストについて説明されおり、ROEとの関連性も明確
  • ROICやROEの定義が明確
  • WACC※と、株主資本コストを分けた開示を試みている

p25-26

※WACC(Weighted Average Cost of Capital|加重平均資本コスト)とは、株主資本コストと負債資本コストを加重平均したもので、株主資本・負債資本両方の要素を含む指標です。 WACCと株主資本コストを分けて記載し、「WACCとROIC」「株主資本コストとROE」を比較することで、事業全体と株主資本のみのそれぞれについて、「資本あたりのコストを、資本あたりの収益が上回ったのか」把握しています。

コニカミノルタ「統合報告書2019」より

その他

そのほか、作成プロセスについて「価値協創ガイダンスも意識してほしい」というコメントもありました。

経済産業省の価値協創ガイダンスについてはこちら

2019年11月末時点で、価値協創ガイダンスを参考にレポートを作成している旨を示すためにロゴマークを使用する企業は、100社を超えています。企業と投資家の共通言語ともなる価値協創ガイダンスを活用して統合報告書を作成し、また作って終わりではなく、投資家との対話に活用していくことも期待されています

また、表彰式では投資家との対話だけではなく、「社会、従業員との対話にも活用してほしい」というコメントもありました。ステークホルダーエンゲージメントのツールは各種イベントやWebサイト等様々にありますが、財務と非財務を統合し会社の全体像を説明するツールとして、対話のきっかけに活用することもできます

【関連記事】
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WICIジャパン統合報告優良企業賞から見た、これからの統合報告

【参考リンク】
企業と投資家の対話のための「価値協創ガイダンス」(経済産業省)
証券用語解説集(野村証券)

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