「SDGD勧告」 SDGs情報にも、開示のフレームワークが。
2020年1月、IIRC・ACCA(公認会計士協会)・ICAS(公認会計士による専門機関)などが「Sustainable Development Goals Disclosure (SDGD)Recommendations」(以下、SDGD勧告)を公表しました。
SDGsに関する情報開示のフレームとしては、これまでも以下のようなものがありました。
- GRI、UNGCによる 「SDGsに関するビジネス・レポーティング」
- GRI、UNGC、WBCSDによる「SDGコンパス」
しかし企業の情報開示では、該当箇所にSDGのアイコンを示してはいるものの、効果まで確認できない情報が増えています。
そこで、「SDGsの達成には投資および資本市場のシフトが不可欠であり、シフトするためには、会計や財務、戦略担当部署が関与し、Board(取締役等)によるエンゲージメントが必要」という立場から、投資家や監査機関が中心となって、今回の情報開示のフレームワークを作成しました。
「SDGD勧告」の基本概念と原則
- SDGD勧告の基本概念と原則は、国際統合報告フレームワーク<IR>、GRI スタンダード、TCFD勧告と密接に連携しています。
- そのため、複数のフレームワークと組み合わせて使用することが可能です。
- 基本概念は、SDGD勧告固有のものもあるため、特に注意を払う必要があります。
■基本概念(YUIDEAによる仮訳、一部抜粋)
組織と社会のための長期的な価値創造 |
・「価値創造プロセス」には、持続可能な開発のリスクと機会を含む外部環境要因の特定と対応が含まれます。 ・価値創造(または破壊)には、複数の資本(社会資本および関係資本、自然資本、人的資本、知的資本、金融資本、および製造資本)への変換が含まれます。 |
---|---|
持続可能な開発の文脈と関連性 |
・SDGsに関する情報開示は、その戦略とビジネスモデルを通じてSDGsの達成に貢献するための組織のアプローチを反映する必要があります。 ・方法に関しての情報開示はほとんどが「物語」であり、影響に関する情報開示は定性的、定量的、財務的もしくは非財務的に表現されます。 |
重要性(マテリアリティ) |
・SDGsは、投資家や利害関係者、社会等に広くリスクや機会を与えます。 ・SDGsに関連したイシューは、組織が管理できる範囲は限られており、予測不可能で、相互に依存している。 ・組織は、組織内外に関わらずSDGs達成に影響を出します。 ・重要性(マテリアリティ)の基本概念は、IIRCのフレームワークとGRI101の重要性原則に沿っています。 |
「SDGD勧告」の言う、開示すべき項目とは?
- TCFDと同様に「ガバナンス」「戦略」「マネジメント」「パフォーマンス」に分類されています
- 情報開示は、年次報告書、年次統合報告書、ストラテジックレポートまたは同等の資料に要約を、その他の媒体に詳細な項目を示すことが可能としています
■開示すべき項目(YUIDEAによる仮訳、一部抜粋)
ガバナンス |
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戦略 |
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マネジメントアプローチ |
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目標とパフォーマンス |
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開示の信頼性を高めるために
企業の情報開示は多くの場合、負の影響よりも正の影響に重点が置かれています。そのため、その開示情報は、投資家や従業員、その他の利害関係者などと限定的に利用されます。 文書によるエビデンスを追加することで、SDGs情報の組織による開示アプローチに、信頼性を高めることができます。 ではどういったエビデンスが、それぞれの項目ごとにあるのか、見ていきましょう。
■エビデンスの一例
SDGD勧告 | エビデンスの例 |
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ガバナンス |
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戦略 |
|
マネジメントアプローチ |
|
パフォーマンスとターゲット |
|
「SDGD勧告」 の想定利用者と期待される効果
- 報告組織: SDGsに関する開示情報の信頼性を高め、SDGs達成に向けた組織の関与を促す。
- 投資家:長期的な、価値創造に関連した信頼できる情報を入手する。
- 保証プロバイダー:関連する証拠を取得する。
- 中央政府:組織がSDGsに与える影響を理解する。
投資家は、企業がSDGsに対してどの程度本気なのか、本気だとしたらどういった戦略なのか、そして財務・非財務に影響を与えるものなのか、と言ったことを知りたいと思っています。しかし、それは投資家に限らず多くのステークホルダーも知りたいことでしょう。
こういったフレームワークに準じた情報開示が進むことで、SDGsウォッシュは減っていくものと予想され、真に社会課題に取り組む企業のみが評価される時代が迫ってきています。
【関連リンク】SDGD勧告
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