レポート事例集

第23回環境コミュニケーション大賞 表彰式参加報告

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2020年2月19日、第23回環境コミュニケーション大賞授賞式に参加してきました。 本アワードは環境省及び一般財団法人地球・人間環境フォーラムが主催しています。

環境コミュニケーション大賞の表彰は、昨年度に引き続き「環境報告書部門」と「環境経営レポート部門」の2部門に分かれて行われました。

当日は各賞の表彰式の他に、国立環境研究所気候変動適応センターの副センター長、肱岡 靖明氏による講演がありました。また、「環境経営レポート部門」では同選考ワーキンググループ座長の田中充氏から、「環境報告書部門」では同選考ワーキンググループ座長の後藤敏彦氏及び副座長の村上智美氏からの講評が行われました。

今回より、殿堂入り制度が新たに設けられたため、表彰と併せて殿堂入りした企業への賞状も授与されました。

それでは、2019年度に改訂された評価の基準や、審査委員の方の総評を紹介します。

今年の特徴と評価のポイント

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環境報告書部門

今年は、環境報告部門の賞の構成が以下のように変更されました。

  • 環境報告書部門には「環境報告大賞」と「気候変動報告大賞」がある。昨今の状況に沿って、昨年までの「温暖化報告大賞」を「気候変動報告大賞」に変更。
  • 環境配慮促進法によりレポート発行を義務付けられている特定事業者は、告示によって発行をしなくてはならない部分があるため、一般事業者とは分けて「環境配慮促進法特定事業者賞」を設けた。

また、採点基準についても改訂がありました。発行後1年の試行期間を経て、今回のアワードより環境報告ガイドライン2018年版が、評価基準のベースとして適用されました。また、環境省ではESGファイナンス・アワードを創設したことにより、こちらのアワードではより「マルチステークホルダー向け」の評価比重を高めました

以下に、詳細な改訂ポイントを掲載します。

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第23回環境コミュニケーション大賞環境報告書部門講評p6より


環境経営レポート部門

こちらの部門では、エコアクション21に準じた活動の報告を評価します。応募118社のうち、61社が2017年版のガイドライン準拠での応募でした。

「エコアクション21ガイドライン2017年版」に準拠したレポートでは、SDGsや地域の課題と関連させながら、環境における経営課題、チャンスを踏まえて新しい取り組みが打ち出されている。今後はこういった取り組みへの評価を広げていきたいとのことでした。

審査のポイントは以下の通りです。

    ①レポートに関するガイドライン記載の要求事項、エコアクション21に沿った取り組みを行えていること
    ②環境負荷の実績が低減している、組織の価値を高めるような積極的かつ高度な取り組みを行っているなど、プラス評価につながる優れた情報が記載されていること
    ③読み手を意識した工夫があり、実際に活用することを想定したツールになっているなど、レポートとしての創意工夫があること
    ④①~③を総合して、レポートとしての完成度とデザイン面での読みやすさを総合評価

受賞レポートの傾向

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環境報告書部門

今回の選考では、マルチステークホルダー向け情報開示も評価されました。その結果、読者にとっての分かりやすさを大切にし、多様な媒体発行含め情報開示をしている企業がより評価されました。その一方で、各社ともに開示内容の整理が進んでおり、戦略を持って情報開示を行う企業が増えているという講評でした。

また講評では、TCFDについても言及されました。シナリオ分析を行い情報開示しているレポートは、その他の情報開示も比例して充実していることが多いとのことでした。

その他、審査委員の方々の総評を紹介します。

■ビジョンや活動、レポーティングに独自性があるか

  • カーボンマイナスや共創といった独自のビジョンを強く訴求するレポートを評価。
  • 2017年改訂の環境報告ガイドラインは、海外のさまざまなガイドラインとの互換性を考慮し、開示項目を細かくし過ぎないように意識した。その結果、各社独自の工夫があるレポートが増えた。

■コミュニケーションツールとして、媒体設計や活用ができているか。

  • 目的や開示要請に合わせて、多様な媒体を用いた情報開示を行う企業が増えている。
  • 情報の網羅性や充実が、複層的にみられるようになった。
  • マルチステークホルダー向けの媒体設計を評価するうえで、環境に関わる媒体だけでなく、統合報告なども併せて応募をしてほしい。

環境経営レポート部門

エコアクション活動から発展させて、SDGsや環境経営にも幅を広げた活動が増えてきた印象があるとの総評でした。

今年度の大賞・優秀賞は、以下のような点が評価されました。

  • 説明責任を果たすため、担当者が所属・写真・コメント入りで紹介されている
  • 独自の取り組みをもち、事業価値、コミュニティとの協働等がわかりやすく示されている
  • 環境・社会に関する課題が明確であり、先進的な対応策を講じている

企業の情報開示における今後の期待

田中氏、後藤氏、村上氏の三者から、レポートをコミュニケーションツールとして活用することに主眼を置いて、今後の企業の情報開示への期待が語られました。

■気候危機への対応の推進

  • 今回、表彰式のはじめに「適応」に関する講義が行われた。気候危機に関して、適応策の開示も求められており、TCFD関連の企業の情報開示は今後も増えていく。
  • 関連記事:環境省「民間企業の気候変動適応ガイド」とは何ですか?
  • 大学には、環境への関心度の高い若者が多い環境であるため、是非告示にこだわらない取り組みや考えを記載していってほしい。

■媒体横断で戦略的な開示の推進

  • 昨今、社会課題の解決を企業がどう定義づけ、バリューチェーン全体で取り組んでいくかが問われている。ステークホルダーを巻き込んだ情報開示や、コミュニケーションの重要性は増している。
  • 次年度に向けて、ステークホルダーに合わせて多様な媒体を使い、工夫を凝らして情報開示を行っていってほしい。

■活動自体の推進につながるレポーティング

  • 環境レポートの意義は、自社の環境活動を体系的に分かりやすく整理し公表することで、ステークホルダーから理解を得ることにある。それにより、企業価値・社会的信頼の向上を図ることができる。しかしそれで終始せず、レポートの作成プロセスを活動の推進力として使い、活動と情報開示のサイクルを上手く回していってほしい。

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