レポート事例集

新型コロナウイルスに対しての海外企業の情報開示状況【アジア編】

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新型コロナウイルス感染症の被害が、世界的に拡大を続け、多くの企業が事業継続に奔走している状況です。そういった中、いくつかの企業では新型コロナウイルスに対しての企業メッセージを発信しています。

前回報告した北米編では、調査した企業ほぼすべてが、新型コロナウイルスに対してのさまざまな情報発信をしていました。それほどまでに北米では大きなインパクトであり、その深刻さは現在進行形で続いているということが窺えました。

今回は、アジア編として、サステナビリティ評価の高いアジアの企業の情報開示を見ていきたいと思います。サステナビリティの評価軸として、RobecoSAMのSustainability Yearbookでブロンズ以上の企業の状況を確認していきます。

※なお、調査は2020年4月30日時点のもので、本テーマに関する情報開示は刻一刻と変化することが予想されるため、ひとつの参考としてご覧いただければと思います。

【台湾】 Delta Electronics Inc(電子装置・機器・部品)

  • コーポレートサイトのナビゲーションの中に「COVID-19 Notice」を記載。
  • 2020年1月30日に、コロナ対策計画「Delta’s Novel Coronavirus(COVID-19)Prevention Plan」を策定し、従業員の健康リスクを低減する取り組みを実施する旨を記載。
  • グローバルでの対策組織を立ち上げて、役割や責任を整理。
  • 予防のためのタスクフォースを結成し啓発・対策などを実施。
Delta Electronicsのコーポレートサイト

【タイ】 True Corp PCL(各種電気通信サービス)

  • コーポレートサイトのメインビジュアルにて、新型コロナウイルスを意識したメッセージを発信。COVID-19が流行する中、True Corpがつながりを作る、と自社サービスを訴求。
  • 「ビジネスユーザーも学生もCOVID-19の危機を乗り越え、誰もが自宅で仕事し、学び、質の高い生活を送るためのプラットフォームを提供する」として、自社サービスの「TRUE VIRTUAL WORLD」を感染症流行期間のみで無料提供。
True Corpのコーポレートサイト

【タイ】 Thai Union Group PCL(食品)

  • 企業ニュースリリースにて、対応内容を紹介。ニュースリリースで、主に自社の缶詰等の商品の提供と、改めての自社PRを行っている。
  • 例えば、2020年4月1日のニュースリリースでは、「COVID-19の発生に直面するといった危機的な状況の中、誰もが食事を欠かさないようにする必要がある」とし、Chicken of the Seaから50万サーブ以上の缶詰を、地域コミュニティの中でも脆弱な住民に寄付したことを紹介。あわせて、Chicken of the Seaの商品や事業内容を長文にて紹介し、事業の社会的意義を訴求。
  • また、2020年4月10日のニュースリリースではCOVID-19により影響を受けるコミュニティ20,000世帯に対し、100万バーツ相当の自社製品を提供した様子を紹介。
Thai Union Groupのコーポレートサイト

【タイ】 Banpu PLC(石炭・消耗燃料)

  • CSRニュースにて、対応内容を紹介。
  • 大学病院をサポートすることで、Covid-19の大流行に対抗する、というメッセージを発信。大学病院に対して、1,050万バーツの寄付を紹介。これにより500万バーツ相当の陰圧室※の建設と改善、および人工呼吸器の提供につながることを記載。
  • 本取り組みについて代表取締役からのメッセージと、大学院理事長からのコメントを掲載し、活動意義を訴求。

※陰圧室:室内の気圧を低く保っている部屋。気圧を落とすことで、扉の開閉により空気が室内に流れる仕組みとなり、病原体を病室外に広げない仕組み。

Banpu PLCのコーポレートサイト


今回アジア圏の中でサステナビリティ評価の高い、その他の企業のコーポレートサイトを確認しましたが、新型コロナウイルスに関してまとまった情報を開示している企業は上記以外見当たりませんでした。

その他確認した企業:ASE Technology Holding Co Ltd(台湾、半導体・半導体製造装置)、Hyundai Engineering & Construction Co Ltd(韓国、建設・土木)、LG Electronics Inc(韓国、レジャー用品および民生用電子機器)、SK Holdings Co Ltd(韓国、コングロマリット)、Thai Beverage PCL(タイ、飲料)など

このように、前回の北米企業の情報開示と比較すると、その割合は少なく、また情報量も多くない状況でした。

アジア諸国においても新型コロナウイルスに対するさまざまな規制を設けられており、国民の問題意識の高さも、両地域に違いはないものと思われます。しかし、オーバーシュート※が発生し、多くの人命が危ぶまれる状況に陥っている北米と、深刻な人命被害にまでは広がっていないアジア諸国では、企業側の情報開示に大きな開きがあることが分かりました。

さて、日本企業はどちらを向くべきでしょうか。
次回は再び被害の大きい欧州の状況を確認していきます。

※オーバーシュート:overshootは「通常の範囲を飛び出る」と言った意味の一般英語で、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下では、「予想以上の感染者(患者)の爆発的増加」を指す。

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