レポート事例集

世界のトップ企業に見るSDGsへの取り組み方

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2015年に15年先をゴールと設定されたSDGsですが、最初の5年が早くも過ぎ、中盤へと突入しようとしています。この数年の間に上場企業や行政を中心にSDGsへの取り組みは広がりを見せつつありますが、それとともに、多くの企業からSDGsをどのように経営に組み込むかについて苦慮しているという話が多く聞かれるようになりました。

毎年はじめにある世界経済フォーラムにおいてサスティナビリティーへの貢献度を評価した「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World」(以下Global100)が発表されます。そこで今回は、Global100の中でもトップレベルと評価された企業が一体、どのようにSDGsに取り組み、情報発信をしているか、1位のエルステッド(デンマーク)から5位のエネル(イタリア)までの企業の状況を紹介していきます。

また、1月に発表されたSDGsの情報開示ガイドラインを鑑みて、今後、SDGsへの取り組みがどのように変化していくのかという、その方向性についても考えていきます。

エルステッド/Orsted(電力、デンマーク)

  • Global100の第1位と評価された企業。
  • 従来からのCSRの取り組みがSDGsにも貢献するとし、報告書内でのSDGsに関する言及は、関連するゴールを紐づけるにとどめている。SDGsに関する表記は右の画像にあるSDGsマークのみ。
  • SDGsの目標或いはターゲットに直接に結び付けた指標や目標値はなく、掲載もしていない。

Orsted

クリスチャン・ハンセン/Chr.Hansen Holding
(食品とその他の化学品、デンマーク)

  • SDGsを軸にしたCSRの取り組みを展開。
  • 自社事業と関連の深いSDGsの目標を正負の影響ごとに、それぞれ3つに絞り込み、それらに対して指標と目標値、そして進捗度をセットで報告している。
  • サマリー版(上)で自社が取り組むSDGsの全体像を示し、さらに、後のページでそれぞれの目標に対して詳しく状況を報告している。(下)
  • 対象とする目標を絞り込んでいるため、SDGsの目標一つ一つに対して重点的な取り組みを行い、またそれらの詳しい説明ができている。これによって、同社のSDGsへの貢献度がより明確に、また読者により強い印象を与えることができていると考えられる。

Chr.Hansen Holding

シスコシステムズ/Cisco Systems (通信機器、アメリカ)

  • 自社の従来からのCSRの取り組みを優先し、それがSDGsにも貢献していると説明。
  • 同社では、マテリアリティーを軸にCSRの取り組みを展開しており、マテリアリティーに対してSDGsの目標を紐づけている。指標、目標値、進捗も同時に紐づくようになっている。
  • 報告書では、方針、マテリアリティー、SDGs、指標、目標値、進捗が体系的に整理され、読者に分かりやすい情報開示となっている。

Cisco Systems

オートデスク/Autodesk (ソフトウェア、アメリカ)

  • 同社は充実したCSRへの取り組みを行っており、それらをSustainability Reportで詳しく紹介している。
  • 一方、SDGsに関しては、右上の記述しかなく、ほとんど触れられていない。自社のCSRの活動との紐づけもなされていない。
Autodesk

エネル/Enel(電力、イタリア)

  • 同社は社会価値・環境価値・経済価値を統合したマテリアリティーの特定を行い、それらに対して重点的に取り組むSDGs目標の紐づけを実施。(上)
  • また、マテリアリティーと関連しコミットしていくSDGsの目標についても洗い出し、一覧で表現している。(真ん中)
  • マテリアリティーに紐づくSDGsの各目標について、取り組み、目標値、進捗を表の形で整理して開示。(下)
  • 全体としてマテリアリティー特定から、取り組み、目標値、進捗に至る各情報が体系的に整理されており、読み手にとって分かりやすい開示の仕方となっている。

Enel

今後求められていくだろうSDGsへの取り組み方

ここまでGlobal100のトップテンの企業の中から5社を選び、SDGsへの取り組み方を見てきました。サスティナビリティーへの貢献度が高いと評価されたトップ企業の間でも、SDGsへの取り組み方に大きく違いがあることが分かりました。

大まかにではありますが、それらは次の3つに分類できるのではないかと考えられます。

【1】クリスチャン・ハンセンのように完全にSDGsを軸として、CSRの取り組みを展開しているSDGs優先型の企業。

【2】シスコやエネルのようにマテリアリティーにSDGsを紐づけ、さらに指標、目標値、進捗管理までを体系化して取り組んでいるCSR/SDGs統合型の企業。

【3】エルステッドやオートデスクのように、従来からのCSRへの取り組みを中心とし、SDGsに関してはマテリアティーに紐づけるまでに留めている企業。

2020年1月に、IIRC・ACCA(公認会計士協会)・ICAS(公認会計士による専門機関)などにより「Sustainable Development Goals Disclosure (SDGD)Recommendations」(以下、SDGD勧告)が公表されました。そこには、報告書へのSDGsに関する戦略、マネジメント体制、マテリアリティーとの関係や指標、パフォーマンスについての記載が求められています。

今後、SDGsへの貢献を謳っている企業には、その貢献の「中身」と「結果」を明らかにすべきという圧力が強まっていくものと考えられます。

そうなると必然的に、企業の戦略であるマテリアリティーにSDGsを紐づけ、その中でSDGsにおける目標設定、指標、進捗管理までを体系化して取り組む、【2】のカテゴリーに分類されるCSR/SDGs統合型の企業が増えてくるのかもしれません。


【関連リンク】 Global 100 Most Sustainable Corporations in the World

【関連記事】 「SDGD勧告」 SDGs情報にも、開示のフレームワークが

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