レポート事例集

サステナブル・ブランド国際会議 2021より。「食から始めるRegeneration」

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2021年2月24・25日、サステナブル・ブランド国際会議が開催され、その中でYUIDEAは『「食とくらしの好循環へ」~ 食から始めるRegeneration』と題し、パネリスト4名をお招きしてのディスカッションを行いました。

今回は当日のディスカッションで話された「なぜ食にサステナビリティが必要なのか」「食をとりまくサステナビリティとは何か」「どうやって食をサステナブルなものにするか」を軸に、サステナブル・レストラン、サステナブル・フードに取り組む方々の実践から得た学びをご紹介します。

各社さまざまな取組み事例をご紹介します。

ファシリテーター
・株式会社YUIDEA エンゲージメントコミュニケーション事業部門 専務執行役員
菅野 晶仁

パネリスト
・一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会 代表理事 下田屋 毅氏
・レフェルヴェソンス シェフ 生江 史伸 氏
・フリーフロム株式会社 / グリーンマンデージャパン 代表取締役社長 山崎 寛斗氏
・株式会社Innovation Design サステナブルデザイン室室長 オペレーションデザイン室室長 表 秀明氏

「食から始めるRegeneration」に向けた各社の取り組み

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■サステイナブル・レストラン協会
2010年に英国で発足したサステイナブル・レストラン協会(SRA)は、サステナブルに関心がある人だけでなく、関心がない人にもどう伝えていくかを重視。社会的課題である児童労働・農地転換など食にかかわるさまざまな問題が、知らずのうちに深刻化する中で、これら問題をきちんと理解し、どう解決するかを考えています。 現在、英国を中心に約12,000店舗が加盟するSRAでは、フードシステムにおけるサステナビリティとして、「調達」「社会」「環境」の3つの指針を策定し、現状を可視化。これに基づく独自レーティングで新しい飲食店選びの指標を定めています。(下田屋氏)

■レストラン「レフェルヴェソンス」
レストラン「レフェルヴェソンス」は2010年よりオープンしました。レフェルヴェソンスでは、例えば季節によって40~60種の野菜を使用していますが、お客様へ料理を提供する際、生産者や素材情報リストもあわせてご紹介したり、一人ひとりの満腹感・満足感に応じ量を調整できるよう、コースの最後にパスタを用意することでフードロス対策につなげるなどの取り組みを行っています。
また使用した野菜の可食部以外を有効活用したコンソメスープづくりなど、「すべてのものを使い切る」ことをスタッフ同士で意識しています。(生江氏)

■フリーフロム株式会社 / グリーンマンデージャパン
気候変動や食料不安、健康問題解決に貢献するエコシステム構築を目的としたムーブメント「グリーンマンデー」を推進しています。グリーンマンデーでは、週1回プラント(植物)ベースな食事を取り入れることから始めるなど、できることから少しずつ始めていくことを提唱しています。具体的には、企業の食堂をお借りして週1ベジキャンペーン(週に1度は植物主体の食事)を広めるなどの「啓蒙」活動と、代替肉ブランドの独自展開やプラントベース専門の飲食小売併設店経営など「実際に商品を届けていく」活動の両軸で展開しています。(山崎氏)

■株式会社Innovation Design
身近な食の分野での大規模な食品ロス問題を目の当たりにし、この課題解決のヒントを得るために昨年サステナブル・ブランド国際会議に参加。さまざまな企業・団体の取り組みを知り、世界基準で考え、ローカルで行動することの重要さに気づかされました。また、サステナビリティとビジネスをどうやって両立するかも大きなテーマでしたが、サステイナブル・レストラン協会が提唱する「FOOD MADE GOOD」の考え方にふれ、両立への手ごたえを得られました。現在、社員全員をサステナブルデザイナーとして位置づけ、店舗で出るゴミをコンポストにするなど食品ロス削減への挑戦を通じて、社会課題の本質をみんなで学んでいます。(表氏)

■YUIDEAご紹介
企業・団体のマーケティングコミュニケーション支援会社として、サステナブル社会実現に向けたブランディングの実践をサポートしています。自然・生物・環境との共生による多様な世界が求められる中、創業当時から生協と共にカタログやそこでのコミュニケーションづくりなどを担ってきた経緯から、生活者のエシカル意識の変化を捉え、企業はサステナビリティ視点をもってどうコミュニケーションしていくかを一緒に考え、支援を続けています。

パネルディスカッション①メンバーと一緒に取り組む際、苦労した点また工夫したポイントは

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生江氏:メンバー内から色んなアイディアが出る中、それを実践するために重要なのは、人とのつながりではないでしょうか。互いの信頼や尊敬といった人間関係構築が大前提になると思います。「みんなが大なり小なりつながっている」ということを、ネットワークづくりを通じながら世の中に発信していきたいですね。例えば生産者情報のご紹介など、互いの存在について認知・認識が広がるような取り組みが重要だと思います。

表氏:大事にしているのは、「サステナビリティ」や「地球の未来」といったテーマを他人事にせず、いかに楽しく自分事に変えていけるかです。例えば、食品ロスをみんなで学んだことでキッチンの若手がいままで捨てていた大根の皮を有効活用するなど、自発的に行動できるようになりました。映画やファッションなど、きっかけは何でもいいので、まずは楽しみながら関わることで色んな社会問題が見えてくる。そんな自分事になるきっかけづくりをしていきたいですね。

山崎氏:例えば「ヴィーガン」という切り口で海外と日本を比較すると、日本ではどこかでヴィーガンとノンヴィーガンなどの境界線が引かれ続けてきたように思います。本当はその間のグラデーションが存在し、そこが大多数のはずです。この層がいかにアクションしやすい環境をつくるかが重要だと思っています。
そういった中で私達が発信しているのは、1日1つのアクションが大事であり、毎日3食の食事の中で週に1日だけでも変えていこうということ。本格的にサステナブルな活動をすることも勿論重要ですが、もっと手前の日常の食から変えていけるという考え方を大事にしています。

下田屋氏:サステイナブル・レストラン協会の活動をしていると、レストランごとにサステナブルに対する関心の度合いが違うと感じます。また、食品ロスやオーガニック野菜使用など個々の取り組みがある一方、包括的にサステナビリティを見たときに、すべてのことを理解・進めていくのは難しいとも感じます。そういった部分をケアすべく協会が提唱しているのが、先ほどご紹介した3指針に基づく実施です。サステナビリティに対する全体的なレベルあげに寄与すべく、会員のレストランとともに活動を進めています。

パネルディスカッション②継続的に取り組むためのポイント、パートナーシップとのエピソードなどは

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生江氏:自分ひとり、もしくは自社だけで越えられない壁も、さまざまな方とのコラボレーションによって越えられるものと思います。例えば、先ほどの農家さんの例などでは、名前を出し合い、より良い選択を互いに考え実行する。そしてそれをオープンな場で共有していくことが重要だと思います。

表氏:サステナブルな取り組みを持続させるために大事にしているのは「ストーリー」です。野菜を育てている農家さんにもストーリーがある。ただ料理を提供するだけでなく、パートナーシップをもって作り手を大事にし、作る側・提供する側など関係者全員のストーリーをつなげて伝えることが重要だと思います。

山崎氏:パートナーシップを考える上で意識しているのは、ビジネス性ですね。儲けがあるから続けていける、と考えています。例えば、この分野のテーマはまだマス層には浸透しておらず、そこに「ヴィーガン」といったテーマで対象を絞り込みすぎてしまうと、来店機会を減らす結果となり、逆に食品ロスにつながってしまうというジレンマをいくつも見てきました。ビジネスとして続けるためには、絞り込みすぎず、例えば商品化した際に「ヴィーガン」などの文言を敢えて入れず発信するなど、戦略的なコミュニケーションが重要だと思います。

下田屋氏:協会としてもパートナーシップを重要視しています。コロナ禍で大きく影響をうける飲食業界ですが、各社からサステナビリティに対する問い合わせが沢山寄せられています。レストランの継続性においてもサステナビリティの観点を意識し取り組んでいかなければ、と考える方が多くいらっしゃることを実感しています。 協会としても、例えばシェフ同士でのコミュニティを用意し、そこで色々な情報を交換しています。今後は、シェフ発信のウェビナーなども展開していく予定です。これからもこのようなコミュニティ構築を継続していきたいですね。

パネルディスカッション③これから取り組みを考えている方へのメッセージ

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生江氏:若手料理人のコンテスト審査員をやっていますが、先日そこでのテーマが「サステナビリティ」でした。動画を通じ沢山のアイディアを見てきましたが、他者から言われてではなく、自ら声をあげて取り組む姿勢はとても素晴らしいと感じます。サステナブルな取り組みにおいて、成熟期のフェーズではまた異なるとは思いますが、現時点ではとにかく色々な声を拾い上げていく。そしてその声を否定しない。そういったことが大事になってくると思います

表氏:やはり行動を起こすことが大事だと思います。その一方で、その第一歩に難しさを感じる方がいれば、ぜひ声をかけてほしいですね。飲食だけでなく、IT・金融・不動産など異業種でもまったく問題ないと思います。なぜなら、社会的課題は全人類の課題。どこかできっと協創できるはず。楽しみながら一緒にやっていければいいですね

山崎氏:「グリーンマンデー」という言葉だけでも、頭の片隅に入れて覚えておいていただけると嬉しいです。簡単なアクションからでも始められることはたくさんあると思います。週1回朝だけでも何かやってみる、そんなところから少しずつ始めていくことが大事だと思います

下田屋氏:サステナブル協会への加盟ハードルは、全くありません。サステナブルな取り組みにおいて「何ができていて、何ができていないのか」を理解しながら進められるので、「何もできていないから加盟は難しいのでは」と心配せず、思い立ったらまずは行動していただければと思います。

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