レポート事例集

プラ問題解決のため、飲料・消費材業界が集う
サステナブル・ブランド国際会議開催報告

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2022年2月24~25日、国内外で活躍するサステナビリティのリーダーが集うコミュニティ・イベント、第6回サステナブル・ブランド国際会議2022 横浜 が開催されました。今回は、プラスチック課題解決を目指す企業のコミットメント枠組みに関するセッションをご紹介します。

セッション「プラスチックの諸問題を解決する企業コミットメント枠組みの発足」

本セッションではまず、WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)の三沢氏から、プラスチック諸問題の現状や、同団体が2022年2月22日に発足したプラスチックの諸問題を解決する企業コミットメント枠組み「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」の概要が共有されました。その後、同枠組みの参画企業として、日本コカ・コーラの飯田氏と資生堂の中村氏から、各社の取り組みが紹介されました。

登壇者

  • 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン 気候エネルギー・海洋水産室 プラスチック政策マネージャー 三沢行弘氏
  • 日本コカ・コーラ株式会社 広報・渉外&サスティナビリティー推進本部 サスティナビリティー推進部 部長 飯田征樹氏
  • 株式会社資生堂 経営革新本部サステナビリティ戦略推進部長 中村亜希子氏

プラスチック諸問題の現状

三沢氏:世界の海洋にはすでに1億5,000万トンのプラスチックが存在し、毎年1,100万トンのプラスチックが陸域から新たに流出しています。このままのペースで海洋にプラスチックが流出し続けると、2050年には海洋におけるプラスチックが魚の重量を上回ることや、小さく砕けたマイクロプラスチックが生物多様性に影響することが懸念されています。

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「陸域からのプラスチック海洋流出量のシナリオ分析」は、海洋流出を大幅に削減するためには、サーキュラーエコノミーへのシステム転換が必要であると示しています。化石燃料によるプラスチックの新規生産を減らし、プラスチックを長期的に循環利用することで初めて海洋流出の根絶に近づくのです。

プラスチックの諸問題を解決する企業コミットメント枠組みの発足

三沢氏:WWFはプラスチック諸問題の包括的解決を意図した2025年のコミットメント枠組みである、Plastics Pact(プラスチック協定)を各国で推進していますが、これまで日本には同様の枠組みがありませんでした。そこでWWFジャパンは2022年2月22日、「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」を発足しました。飲料、消費財などの業界から大手10社が参加しています。参加企業は2025年までに、容器包装/使い捨てプラスチックにおいて以下の5つの取り組みを行うことにコミットメントします。

  1. 問題のあるもの、および、必ずしも必要のないものの使用を取り止める。代替素材への切り替えの際は、その持続可能性を十分考慮する
  2. 可能な限り、リユース (他の素材のリユースを含む) へと切り替える
  3. 可能な限り、リユース、リサイクル可能なデザインとする
  4. リサイクル素材の意欲的な使用目標を設定する
  5. リユース、リサイクル率を向上させるためにステークホルダーと協力する

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各社の取り組み

飯田氏:日本のコカ・コーラシステム(日本コカ・コーラと5社のパートナー企業)では2019年から、「多様性の尊重」「地域社会」「資源」という3つの分野を中心にサスティナビリティー活動に取り組んでいます。中でも資源の分野において、容器由来の課題は特に重点的に取り組むべきものと認識しています。日本コカ・コーラはグローバル目標よりも高水準の目標を掲げ、2030年までにすべてのPETボトルを100%サスティナブル素材に切り替え、製品1本あたりのPET樹脂使用量を35%削減(2004年比)することを目指しています。このような高い目標を掲げられた背景には、日本の高いPETボトル回収率とリサイクル率が挙げられます。その一方で、一度回収されたPETボトルが洋服や食品トレイなど他の製品にリサイクルされると、使用後にごみとして廃棄されやすいという課題もあります。弊社では、回収したボトルから新たなボトルを生み出す、水平リサイクルをさらに推進していきます。

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中村氏:環境主要アクションとして、「環境負荷削減」、「サステナブルな製品の開発」、「サステナブルで責任ある調達の推進」を3本の柱として掲げており、そのうち「サステナブルな製品の開発」の取り組みとしてサステナブルパッケージを推進しています。
創業精神やグローバルトレンドを踏まえ、サーキュラーエコノミーへのシフトが重要であると判断し、2020年に「5Rs」を公表しました。人、社会、環境を尊重(Respect:リスペクト)することを前提としたうえで、3R(リデュース、リユース、リサイクル)と環境にやさしい素材への置き換え(Replace:リプレース)を通じて、2025年までに化粧品のプラスチック製容器包装を100%サステナブルなパッケージにすることを目指しています。具体的な取り組みは、全世界で1,200以上のつめかえ・つけかえ商品の販売、容器再利用プログラム「LOOP」での製品販売、容器包装の共同回収・リサイクルなどです。

Q. プラスチックの課題への対応を、社内でどのように推進しましたか?

飯田氏:容器回収の仕組みを整備したり、リサイクル啓発のためにラベルを切り替えたりするだけでもコストがかかってしまいますが、今後も消費者に選んでもらえるようなブランドを確立するために必要な投資と捉えています。消費者向けキャンペーンを実施したところ、リサイクルPETボトルの使用によって消費者の商品購入意向が増加することがわかり、やるべき取り組みだという意識を社内で共有しながら推進しています。

中村氏:世の中が持続可能な社会に向かっており、サステナビリティに配慮した商品に価値を感じる消費者は増えているので、プラスチック課題への対応は必要な投資であると捉えています。現状、サステナビリティに配慮した全商品で利益が出ているわけではないですが、消費者の協力を得ながら試行錯誤している状況です。

本セッションのポイント

大量生産・大量消費・大量廃棄の上に成り立つリニアエコノミー(直線型経済)が、気候変動やプラスチックごみの海洋への流出を深刻化しており、限りある資源を循環利用するサーキュラーエコノミーへの移行が求められています。そのためには、各企業や消費者一人ひとりがプラスチックごみの排出量削減やリサイクルに積極的に取り組むと同時に、企業同士や消費者を含むステークホルダー間のさらなる協働が不可欠なのです。

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