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社内で統合報告書の作成を検討しています。統合報告書についての基本的なルールはありますか。――(5)統合報告書の作成
国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council:IIRC)が、世界中の関係者との検討を経て、2013年12月に統合報告のフレームワークを出しました。これが基本的な概念となるものです。ただし、あくまで原則主義であり、考え方が呈示されているにすぎず、詳細の規程や雛型があるわけではありません。原則主義に則り、各社が自ら考え、判断し、作成する必要があります。
また、統合報告書は、日本の法令で発行が定められているわけではありません。IIRCは認定機関ではなく、フレームワークから逸脱したからといって咎められるものでもありません。会社が置かれたそれぞれの状況によって、自由に作成してよいものです。読み手となる投資家に伝わること、投資家が知りたいことに着実に応えることを主眼において作成することが大事です。
そのためには、IIRCのフレームワークを法令のように捉え、何を開示しなければならないか、どのように記載しなければならないかという形に囚われることなく、財務情報と非財務情報を統合し、自らの会社の価値創造ストーリーを語ることが最も重要です。
- 自らの会社はどんな未来を創造しようとしているのか(目的地)
- そのためのどのようなビジネスモデルで取り組み(乗り物)
- どのようにガバナンスしながら(ハンドルとブレーキ)
- どのような戦略で目的地に着こうとしているのか(道筋)
- その道筋では、何が機会で何がリスクか(追い風と障害物)
- 何がKPIで(コンパス)
- これまでにどう進み(実績)
- 今はどこにいるのか(現在地点)
などの要素を盛り込み、未来から現在に戻って進み方を考える「バックキャスティング」の発想で、財務情報と非財務情報を統合した「価値創造ストーリー」を構築していくことが最も重要です。この「統合的思考(Integrated Thinking)」を進めることこそが、統合報告書を作成する意義です。
回答者:山崎 直実氏
一般社団法人 株主と会社と社会の和 代表理事。
IR/ESG/コーポレートガバナンス コンサルタント。
長年、消費財メーカーでコーポレートガバナンス、ディスクロージャー、株式実務を統括。機関投資家やSRI調査機関などと対話を重ね、ESGコミュニケーションを推進。2014年に独立し、女性を中心とした個人投資家にESG投資やエンゲージメントを促進するための一般社団法人を設立。
経産省「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト委員。
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