環境報告書/CSRレポート2006 白書
いま社会・地球にとって重要な課題は何か、それに企業としてどう取り組んでいるのか——それが読者に伝わったとき、企業は信頼され、必要とされる
弊社では2002年から当白書を独自に発行しており、今回で5回目となる。
周知のとおり、この間、環境報告書は大きく変化した。もともとは企業の環境負荷削減活動について報告するものだったのが、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)への高まりに伴い、消費者保護、人権配慮、労働条件、社会貢献などの「社会性報告」を追加し、タイトルを変更する企業が増加傾向にある。本年度の報告書のタイトルを「社会環境報告書」「CSRレポート」としたのは439社中273社(62.1%)となり、「環境報告書」「環境経営報告書」は109社(24.8%)にとどまった。
この結果、情報量が増え、ページ数も増加傾向にある。2002年では51ページ以上の報告書は16.7%だったが、2006年は35.3%にまで上っている。ただ、環境goo(※)の「環境・社会報告書リサーチ」では、「信頼できる」は50%という結果になっている。つまり、情報開示の項目は増えているのに読者の信頼感には必ずしもつながっていないのである。
この理由の一つとして、GRI (Global Reporting Initiative)や環境省のガイドラインで記載が奨励されている項目を網羅しようとする努力はうかがえるが、いま社会・地球が抱えている課題のなかで何を重視し、取り組もうとしているのかが、見えづらいのではないか、と筆者は感じる。自社の商品・サービスなどを「特集」や「トピックス」として巻頭に設け、読者に訴求しようとする企業は35.1%あるが、それが社会・地球の課題とどのようなかかわりがあるのかという点から書かれているものは少ないといえる。
報告書は活動の「記録」である。しかし、それが読者に伝わり、「記憶」されなければ意味がない。いま社会・地球にとって重要な課題は何か、それに自社はどう取り組んでいるのか——それが読者に伝わり、記憶されたとき、企業は信頼され、必要とされる存在となり、報告書も初めて意味を持つのではないのか、と筆者は信じている。
※環境goo「環境・社会報告書リサーチ」
http://eco.goo.ne.jp/business/event/env_report/web_sympo2006/report02/006.html#01
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