環境報告書/CSRレポート2008 白書
Summary 半数のレポートでマテリアリティやマイナス情報を開示 コミュニケーションの進化と考えるか マネジメントが抱える課題と捉えるか
弊社では2002年から当白書を独自に発行しており、今回で7回目となる。
この間、調査を開始した当時は、タイトルとして最も多かった「環境報告書」が激減し、「社会環境報告書」が全体の26.8%、そして「CSRレポート」については52.5%と、半数を超える結果となった。また、報告書の構成についても、環境面、社会面に経済面の情報記載を加えたトリプルボトムライン形式で開示している報告書が7.3%から10.0%に微増するとともに「環境面・社会面」、それにコーポレート・ガバナンスに関する情報を加えたESG(環境・社会・ガバナンス)情報の開示をおこなった企業が51.0%と半数に達した。2006年のGRIガイドライン第3版(G3)の公開、2007年の環境報告ガイドラインの改定などで要求されるようになった開示項目が反映されていると考えられる(12ページ参照)。
こういった全体的な変化も踏まえながら、今回の調査では、報告対象範囲、目標・実績に関する記載、CO2削減に関する中長期目標、生物多様性に関する記載、マテリアルバランスの記載、育児・介護休業利用者数/利用率、人権に関する記載、マテリアリティに関する記載、WEBと冊子のすみわけに関する記載、マイナス情報の開示などについて調査項目を追加し、ガイドラインへの対応などについて一部既存項目の変更を実施した。
同時に、上記のような追加・変更を踏まえ、調査対象報告書の比較可能性を考慮し「環境面」のみの報告を行っている報告書については調査対象外とすることとした。
調査の結果、マテリアリティ(重要性)に関しては48.8%と約半数の企業が触れており、何らかのかたちで重要項目について意図的に掲載を行っていた。また、ステークホルダー・ダイアログの掲載は昨年の17.7%から22.3%に増加し、レポートで有識者との意見交換や対話を通じて、外部の意見が伝えられるようになっている。そして半数のレポートにおいて、経営全般、顧客、環境、従業員の項目のいずれかでマイナス情報について触れられていた。
このように環境/CSRについての各企業の向かう先や力を入れて活動している状況、ネガティブな面も含めた誠実な情報開示など、これまで都合のよい情報しか開示していないと批判されがちだった報告書において、コミュニケーションにおける進化が見られる。しかし、内部・外部から意見を聞きながら、マイナス情報として課題が特定できているにも関わらず、目標・実績の記載を一覧表で記載する際、社会性項目について開示できている企業は22.7% にとどまっている。
マテリアリティ(重要性)、ステークホルダー・ダイアログ、ネガティブ情報などを、数値目標や具体的な評価をともなったマネジメントと結びつけることの難しさは周知の通りである。この難しさを乗り越え、プロセスや年次活動のマネジメントを行い、その結果や効果を社内外に情報開示し、効果的なコミュニケーションを実施していくことが引き続き重要な課題といえる。
当白書が企業や社会にとって、環境/CSRコミュニケーションをより一層促進する一助となることを願う。
株式会社YUIDEA(旧:株式会社シータス&ゼネラルプレス)
シニアプロデューサー&関西事業部長
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