Ⅰ. 正式名称
IFRSサステナビリティ開示基準(ISSB基準)
Ⅱ. 発行者
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)
■目的
一般目的財務報告書の主要な利用者が、企業への資源の提供に関する意思決定を行うにあたり有用な、当該企業のリスク及び機会に関する情報を開示することを当該企業に要求すること。例えば、投資家等が投資するかを判断するのに有用な情報の開示を、企業に要求すること。
また、各国での制度化におけるグローバルベースラインを提供することも目的として、作成されている。
Ⅲ. 対象
IFRS適用国がそれぞれ国内での制度化を取り決める。
日本の基準は、2025年3月末までに策定される予定。
財務諸表が、日本基準やGAAPなどIFRS以外の基準に準拠している場合でも、サステナビリティ開示基準の適用は可能。
IV. 概要
S1「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」、S2「気候関連開示」が公表されている。
S2「気候関連開示」には、SASBにスタンダードに由来する「産業別ガイダンス」が用意されている。
今後他のテーマ(人的資本、自然関連、人権など)も作成される予定。
■特徴
企業の見通しに影響を与えると合理的に見込まれるサステナビリティ関連のリスク及び機会に関して、重要性がある情報を開示することを企業に要求している。(シングルマテリアリティの立場)
サステナビリティ関連財務開示と、企業が公表するその他の一般目的財務報告書(関連する財務諸表など)との間のつながりの開示も求められる。
特定したテーマについて、「ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標」のコア・コンテンツについての開示が求められる。
■ 沿革・今後
2021年 | ・IFRS財団内に、ISSBが設立 ・ISSBに、VRF(IR国際統合報告フレームワーク、SASB作成機関)及びCDSBを統合 |
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2022年 | ・ISSBによる公開草案公表 ・日本では財務会計基準機構(FASF)内に「サステナビリティ基準委員会」(SSBJ)が設立 |
2023年 | ・IFRS S1、S2公表 ・TCFDの役割はIFRSに引き継がれ、TCFDは解散 |
2024年 | ・IFRS S1、S2の日本語版公表 ・SSBJによって、日本版S1、S2基準の公表(2025年3月末までの予定) ・「気候関連」以外のテーマの基準開発を予定 |
V. 企業の対応
日本企業(プライム上場企業またはその一部の企業を想定)に対しては、2025年3月末までに日本企業向けの基準が策定され、制度としての開示が必要になる見込みとなっている。
適用に備えて、まずSASBスタンダードを考慮した財務面でのマテリアリティ特定がある。
さらに特定した課題についてのコア・コンテンツ(ガバナンス、リスク管理、戦略、指標及び目標)の開示向けた取り組みが挙げられる。
参考情報
・SASB
・IFRS
・SSBJ