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サステナブル・ブランド国際会議2024開催レポート

サステナブル・ブランド国際会議2024東京・丸の内が2024年2月21日、22日にかけて行われました。登壇者として集まった、サステナビリティ領域の有識者や先進企業の担当者らは200人を越え、環境や人権といったサステナビリティ課題や、分野を問わない開示全般に対する課題なども含め、事例などを交えながらセッションを行いました。

「企業価値向上のための非財務価値の顕在化~日本企業の取り組み事例より~」と題したセッションでは、「柳モデル」の柳良平氏が登壇。インパクト荷重会計がグローバルスタンダードになりつつある中で、非財務資本の数値化は重要度を増しています。こうした数値化を導入する企業としてKDDIと日清食品ホールディングスの事例が紹介されました。

登壇した日清食品ホールディングスの横山之雄氏は、取り組みによって「間口と奥行きが広がった」と語ります。非財務分野の活動と数年後のPBRの相関関係が示されたことで、課題解決に向けた改善がなされるようになり、個々の活動の充実にもつながったとのことです。KDDIの矢野絹子氏は、データ収集の苦労を語りつつも、数的データで可視化したことで、事業担当者の「自分事化」や「腹落ち」につながったと効果を実感していました。柳氏は「(非財務価値の顕在化は)ステークホルダーと長期視点で話をするために強いツールとなる」と強調しました。

「ネットゼロに向けたバリューチェーンエンゲージメント」では、サントリーホールディングスの辻敦浩氏と電通グループの古田豪見氏が登壇しました。カーボンニュートラル実現にはバリューチェーン全体でのエンゲージメントが争点になります。サントリーグループはENEOSと協働することで、顧客となる飲食店で生じる使用済み食用油をSAFとバイオペットボトルに加工するサイクルを構築していることを紹介しました。

一方、電通グループはマーケティング業界ならではの課題に言及。自社の事業工程だけでも関わる協力会社が多岐にわたり、電通グループ自体も80の関連会社を持ちます。情報取集の仕組みを構築するところから着手し、その際に気を付けたのは共通のフレームを作ることと負荷の合理化に気を付けることだったと話します。制作面では、個別のTVCMの制作に係るGHG排出の測定ツールを開発するなど、顧客を巻き込んだ削減施策にもアプローチしています。

ファシリテーターとなったCDPの榎堀都氏は、事業によって注目すべき場所が異なるため、自社のバリューチェーンをよく理解してアプローチしていくことが大切だと整理しました。

サステナブル・ブランド国際会議は、2006年に米国で生まれたグローバル・コミュニティ(Sustainable Brands)を参考に、日本でも2017年から開催されています。今では米国と並ぶ規模にまで発展し、2日間で3848人が訪れました。

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